「ヒップヒンジ」と呼ばれる股関節の特徴的な動き
プレーを冒頭に巻き戻すと、ドリブルの1タッチ目の後では、侵入を阻止すべく左肩を後ろからつかもうとするジェームス・ブリーの手を、スルッといなすように振りほどいて加速していきます。まさに、襲いかかってくる屈強なディフェンダーの闘争心を削いで逃走していくようなシーンですが、相手とコンタクトしながらも体勢を崩さずに速く走る技術も「サッカー的なスプリント」の一つと言えます。
少し遡りますが、2023/24シーズン第2節のウルヴァーハンプトン戦。同シーズンのリーグ年間最優秀ゴールの候補にもノミネートされた、左サイドのハーフウェーライン付近からカットインで中央に切れ込んで鮮やかに決めたゴールは、多くのファンに鮮烈な印象を残したのではないでしょうか
【動画】ブライトンvsウルヴァーハンプトン ゴール
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対峙するネルソン・セメドをかわした後、左肩を後ろからグイッと引っ張られるような形でチャージを受けますが、身体全体(骨盤)は進行方向を向いた状態でスプリントしながらも、上半身(胸郭)をしならせながら左側に捻ることで、コンタクトをいなすように振りほどいていきます。
その直後は、ブルンッと振り戻る反動でつんのめるように前に倒れて転びかけますが、すぐさま身体を起こして体勢を立て直しながら加速してきます。このような股関節を支点として上半身を折りたたむ↔︎起こすような動きは、蝶番に見立てて「ヒップヒンジ」と呼ばれていますが、三笘は股関節の自由度が高いため、スプリントする脚のサイクルはそのままで上半身の傾きを変える、という同時並行的な動きが可能になります。
三笘はドリブルで相手をスパッと鮮やかにかわしているイメージが強いですが、コンタクトしながら推進していくシーンも多くあります。