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コラム 1か月前

三笘薫はブレーキとアクセルを巧みに操る。カイル・ウォーカーをも翻弄する「前さばき」からの再加速の仕組み【動作分析コラム】

シリーズ:動作分析コラム text by 三浦哲哉 photo by Getty Images

まるでチーターのよう。「減速」の動きの際に重要な筋群

 高強度のプレミアリーグに順応するように年々身体がサイズアップしコンタクトの力強さも増している三笘ですが、フィジカルを前面に押し出して真っ向勝負! というより、上半身のしなやかさやタイミングよく腕を外すことで相手をいなしたり、股関節を上手く使ってバランスを立て直しながら推進していくプレーを得意としている印象があります。

 地上最速を誇るネコ科の雄、チーターがサバンナで狩りをする映像を見ると、逃走する獲物を猛然と追い詰めていくシーンは迫力満点ですが、仕留める際にはそのあふれんばかりのスピードをしっかり制御して急ストップをする身のこなしも兼備しています。

 彼のアイドルであるネイマールを模してか、膝を隠すようにソックスを上げて履くスタイルが定番の三笘は、そのスラッと伸びた長い脚を活かしたプレーが魅力的ですが、下半身を背面から見ると、ユニフォームのショーツ越しでも分かるくらいお尻周りが盛り上がっているのが分かります。

 陸上競技のスプリンターさながらのプリッと発達した臀部の筋群が、三笘の優れたスプリント能力の基盤となっているのはイメージがつきやすいと思いますが、方向転換が必要となるサッカー選手の場合には「減速」や「止まる」動きの際にも重要な機能を担っています。

 ネイマールや三笘のようなドリブラーは特に、華麗な足技やキレ味の鋭さ、加速力に注目が行きがちですが、トップレベルの選手ほどスピードに乗った状態から素早く急ブレーキをかけることができるのも特徴です。

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