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コラム 7か月前

三笘薫はブレーキとアクセルを巧みに操る。カイル・ウォーカーをも翻弄する「前さばき」からの再加速の仕組み【動作分析コラム】

シリーズ:動作分析コラム text by 三浦哲哉 photo by Getty Images

ブレーキ成分を生み出す動き。「抜重」や「膝の抜き」

【動画】ブライトンvsエヴァートン 止まる動き
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参照元:YouTube

 三笘がドリブルで縦方向に駆け上がってからピタッと急停止して相手を外してチャンスメイク、もしくはボールロストすることなくそこから攻撃を組み立て直す、というシーンはよく見かけると思います。

 減速して止まる場合、上半身の姿勢を保持したまま、グッと沈み込むようにしてタタッと素早くステップを刻む動きが出現します。スピードに乗った状態からの急減速は特に、体重のおよそ4〜5倍の負荷がかかると言われ技術的な難易度も高くなりますが、三笘の場合はこの一連の動きの質が高いため、力感が少なく軽やかに見えると思います。

 キュッと急減速するためには、「抜重」や「膝の抜き」と呼ばれる下半身の使い方で重心を素早く下げることで、ブレーキ成分を生み出す必要があります。股関節を曲げながら身体の前側に足を着地していくような動きになりますが、体幹部分を安定させる腹〜腰回り・下腹部の筋群と、臀部や脚の筋群が協調することで、身体の重さを上手く利用した効率の良いブレーキングが可能になるのです。

「反発ステップ」に代表されるように、三笘は緩急を自在に操る形でのドリブル突破を得意としていますが、2023/24シーズン第9節のマンチェスター・シティ戦で名手カイル・ウォーカーを翻弄したシーンのように、減速してから素早く再加速するような連続性のあるプレーも多くあります。

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