三笘の真骨頂。ブレーキとアクセルの切り替えのスムーズさ
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三笘のようにスプリント能力の高い選手は、「前さばき」や「フロントサイドメカニクス」という理論で説明されている身体の前側で脚を回転させる走り方をしていますが、状況判断からの方向転換が必要となる局面では、そこから回転数を素早く上げてスピードをコントロールすることができます。
三笘は、減速時の「前さばき」の動きの質も高く、ステップを刻んでブレーキを掛けながらも、動的にアイドリングしているような準備状態も並行して作り出せるため、アクセルを踏めばもたつくことなく素早く加速できるような体勢を取ることができます。
そこから、タイミングを見計らってGOサインを出した後のギアチェンジのスムーズさと、ボールタッチした脚がそのままスプリントの1歩目になるような動きからの爆発的な加速力で相手を置き去りにするプレーは、三笘の真骨頂と言えるでしょう。
推測になりますが、このシーンは最初から決め打ちしていたのではなく、右足のアウトサイドでの切り返しに相手がつられるようにバックステップを踏んだことで、とっさの判断で縦方向への突破に切り替えたのではないでしょうか。裏を返せば、減速しながらも状況判断して複数の選択肢を選べるような体勢を作れていて、かつ対峙するディフェンダーからもそう見える、ことによって時間的な優位性も創出していたと解釈することも出来ます。
現在、サッカーのインテンシティの増加に伴い、選手に要求されるフィジカルの基準も年々高くなってきています。スプリントの速さや球際での力強さはもちろん重要ですが、高強度のプレーを反復していく上での基盤となるスムーズで効率の良い「減速」や「止まる」動きは、育成年代から洗練させていきたい技術の一つだと考えています。
(文:三浦哲哉)
書籍情報
三浦哲哉 著、須佐徹太郎 監修
定価:2,310円(本体2,100円+税)
これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型
世界で活躍するトップ・オブ・トップのサッカー選手の動作的特徴として、「スプリント」「減速・加速」「方向転換」の速さが挙げられる。それらを支えているのが、「弾むバネ」「沈むバネ」「しなるバネ」の3つのバネである。また、身体的特徴として、「上半身の姿勢の良さ」「腹~腰回り、下腹部の筋群の発達」「自由度の高い股関節」がある。本書では、現代サッカーを制するために必要不可欠な3つのバネの作り方を中心に、中学生年代から大学生年代かつプロ選手まで適用できる、これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型を提示する。
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