ガッリアーニは「哀れな司祭」
守護神のミケーレ・ディ・グレゴーリオ、23/24シーズンにチーム最多の8得点をマークしたアンドレア・コルパーニが退団。さらに、パッラディーノ監督も契約満了により退任し、チームの船頭役までも失った。
また、昨年12月30日には、フランソワ・モデスト・スポーツディレクターもクラブとの同意の下に、モンツァを去り、有能な強化責任者も手放すこととなった。縮小路線ははっきりと見て取れる。
イタリアきっての戦力補強のブレーンであるガッリアーニだが、ベルルスコーニ氏という後ろ盾を失い、もはや成す術はない。クラブのウルトラス『クルヴァ・ダヴィデ・ピエーリ』にも「ベルルスコーニの金があればどこにでも現れるが、金がなければドン・アッボンディオでしかない」と横断幕で揶揄される始末だ。
これは、アレッサンドロ・マンゾーニの国民的文学、『いいなづけ』に登場する、優柔不断で、みすぼらしく、臆病な司祭、ドン・アッボンディオを引き合いに出したものだ。
代表取締役で副会長のガッリアーニは、クラブ買収時、自身をギリシャ神話の英雄、オデュッセウスに例えたが、それから2年半の年月を経て、サポーターからは、その無力な姿に、「哀れな司祭」と嘲笑されるまで堕ちてしまった。
モンツァの売却先候補には、ギリシャの実業家で、オリンピアコスとノッティンガム・フォレストのオーナーを務めるエヴァンゲロス・マリナキスが挙がっていたが、具体的な話は進展していない。
また、イタリア系のアメリカ人、マリオ・ガベッリが所有する『GAMCO Investors』が関心を持っているとも伝えられている。個人資産は約20億ドルに達し、企業全体の運用資産はおよそ300億ドルにのぼるという大富豪だ。
そうした中で、元ローマの幹部、マウロ・バルディッソーニが、売却交渉で窓口になっていることが明るみに出た。ジェームズ・パロッタ時代のゼネラルディレクターで、あとにCEO(代表取締役)と副会長も務めた人物である。アメリカ系のファンドとの交渉と噂されているが、前述の『GAMCO Investors』でないようだ。
いずれにしろ、水面下で、売却交渉は行われていることは間違いない。幸い、モンツァには、ポジティブな条件が揃っている。
イタリア経済の中心地、ミラノからのアクセスも良く、トレーニングセンターも改修したばかりだ。そして、何より、“フェラーリの聖地”と言われるモンツァのブランド力は、投資家にとって魅力的に映るものに違いない。
ガッリアーニは、1年でのセリエA復帰を目標に掲げているが、早期に新たなオーナーを探し当てることが、チームの浮沈を左右することとなりそうだ。
(文:佐藤徳和)
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