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コラム 7か月前

久保建英の個×レアル・ソシエダの戦術を読み解く。ヤマルの活躍とリンク? 理想的なゴールへの近づき方【東大分析官の視点】

シリーズ:東大分析官の視点 text by 阪田天祐 photo by Getty Images

レアル・ソシエダの戦術と個の融合

 チームのスタイルを変更するような交代カードしかない今のソシエダにおいては、スタメンの誰かが消耗した場合、「ソシエダの王」を含む複数人を交代して、戦術自体をガラっと変えるしかないのだ。この日の久保も、再びそうしたチーム事情の犠牲となった。

 試合は、そのまま動かず0-0で終了。久保は当然のように、MVPを受賞した。

 久保は、オン・ザ・ボールの選択肢が非常に豊富であるがゆえに、様々な戦術の下でプレーできる。少なくともこの一戦から、チーム戦術と久保の機能性の関係を、以下の6つのパターンに分類することができる。

ビルドアップ志向
①左越えのビルドアップ・中盤経由で右奥へ
:久保は右奥で前向き→仕掛け(遅)
②左引き付けのプレス回避・中盤経由で右へ
:久保は右で前向き→仕掛け・展開
③右引き付けのプレス回避・同サイド縦へ
:久保は右で後ろ向き→保持安定

ダイレクト志向
④プレスからショートカウンター
:仕掛け(速)・クロス飛び込み
⑤ロングボール・ネガトラからショートカウンター
:仕掛け(速)・クロス飛び込み・飛び出し
⑥ロングカウンター
:仕掛け(速)

 ビルバオ戦の前半は①②③④が発動した。右奥までボールを運べば、丁寧に仕掛けて必ずクロスかシュートをやりきってくれる(①④)。疑似カウンターのような形であれば、時間をかけずに対峙する相手に正対し、フリーズさせてからスルーパス。もしくは、追走する相手を緩急で置き去りにして一気に前進する(②)。

 右の狭いスペースでボールを預けても、無理が利くコントロールによって失わない(③)。久保が「ソシエダの王」としての信頼を勝ち取っていたのは、こうしたチーム戦術と久保の“個”の融合があったからである。

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