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日本人選手がドイツなどのトップリーグで目覚ましい活躍を見せる一方、Jリーグなど日本国内リーグで行われているサッカーとドイツのそれには、まだ大きな隔たりがある。第4回では、相手が自分たちにボールを与えてくれたと解釈した場合における、その後の攻撃の優先順位をブンデスリーガの理論をもとに紐解いていく。(文:河岸貴)
ドイツ側の本音、日本人は「Jリーグの映像だけで評価できない」。Jリーグに復帰した選手の違和感の正体【BoS理論】
【第2回から読む】
「いまは慌てたほうが良い」BoS的攻撃の優先順位を提示する。ドイツの指導者養成資料をもとに攻撃を分解【BoS理論】
【第3回から読む】
そこに優先順位はあるか? Jリーグの安易なバックパスに疑問。サッカーの「基本的攻撃態度」を突き詰める【BoS理論(3)】
『サッカー「BoS理論」 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法』
カンゼン・刊
河岸貴・著
ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法論「BoS(ベーオーエス)理論」(Das Ballorientierte Spiel:ボールにオリエンテーションするプレー)が足りていない日本サッカーの現状に警鐘を鳴らす。ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者、スカウトを歴任した著者が、日本のサッカーの現状を直視しながら、「BoS理論」におけるボール非保持時の部分、「Ballgewinnspiel:ボールを奪うプレー」の道筋をつけた一冊。
理想ではないボール奪取をしたその先の意識徹底
「Umschalten」(ウムシャルテン)―ボール非保持からボール保持へ―
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『サッカーBoS理論 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法』(ボール非保持時編)ですでに述べているように、プレスの目的は相手のミスを誘うことです。そのためにはコンパクトな陣形から正しいタイミングのプレストリガーをもって、最大限のテンポでボールにアタックします。
プレスラインの高さに関係なく、ボールサイドで数的優位をつくりだします(「Deckungsschatten」=デックングスシャッテン:カバーされる影の増大)。理想的なボール奪取は自分たちが一気にゴールに向かえるような奪い方です。それは往々にしてヘッドダウンした相手からのプレゼントパス(ミスパス)、技術的ミス、判断ミスから達成できるでしょう。
このようにボールを奪えれば、いわゆるポジティブ・トランジションを複雑に考える必要はなく、単に攻撃の延長線上だと考えれば良いわけです。相手が自分たちの都合の良いようにボールを与えてくれると解釈すれば、ポジティブ・トランジションという概念自体、不必要になります。
常時攻撃態勢の理想は、ポジティブ・トランジション/ネガティブ・トランジションの状況回避を出来る限りすることです。なぜなら、モダンサッカーにおいてこれらのトランジションにおけるプレー態度は非常に複雑で難しいからです。それゆえトランジションからの得点も失点も多くあります。しかし、理想的にボールを奪えることは現実的にはそれほど多くはありません。
では実際に理想的ではないものの、ボールを奪えた際には何がポイントになるのでしょうか。