「ああいうプレーを一回だけじゃなくて…」
「前半は相手のペースで苦しい時間帯があったし、みんなの体もあまり動いていない感じだったけど、前半を我慢すれば後半には絶対に自分たちの流れが来ると思っていたので、その通りになったんですけど」
52分に迎えた京都の最大の決定機は、川﨑から生まれていた。MF平戸太貴の浮き球のパスを、敵陣の右タッチライン際で胸トラップ。ボールを前に落とすと、そのまま相手ゴール前へ向かってドリブルを開始。約20メートルを切り裂き、複数のヴェルディの選手を自分へ引きつけた直後だった。
相手PA内へ侵入した川﨑は、自らはバランスを崩し、ピッチ上に転がりながらも、がら空きになっていた左サイドへ右足でパスを送る。意表を突くプレーにヴェルディは反応できない。しかし、以心伝心で攻めあがってきたMF佐藤響のシュートは、ヴェルディのGKマテウスにキャッチされた。
「ああいうところ(タッチライン際)から自分が空いているスペースへ侵入していって、チャンスを作れたプレーが今日のなかでは一番よかったと思っている。だからこそ、あれをゴールにつなげていきたいし、ああいうプレーを一回だけじゃなくて、もっともっと作り出さなきゃいけなかった」
しかし、京都に傾いた流れは67分に一変する。ヴェルディのMF森田晃樹を激しいタックルで倒した平戸に一発退場が告げられた。数的不利になった状況で、川﨑はキャプテンとして仲間に檄を飛ばした。
「とりあえず(引き分けて)勝ち点1は確実に取りたい、という展開で、チャンスがあれば勝ち点3も取りにいく感じでいこうと。そのなかで、リスクを負わないような戦い方を考えていたんですけど」