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コラム 2週間前

プレミア王者を蹴散らした三笘薫のゴールの秘訣。芸術的なプレーを生み出す独特な股関節の「ひとひねり」【動作分析コラム】

シリーズ:動作分析コラム text by 三浦哲哉 photo by Getty Images

3パターンのアウトサイドキック

【動画 ブライトンvsリヴァプール 三笘のアウトサイドキック】


参照元:X

 アウトサイドで蹴る場合、足首を内側に捻った状態で、(相対的に硬くない部位にあたる)足の甲の外側に当ててインパクトすることになります。インステップやインサイド系のキックと比較すると、どうしても反発が弱くなりやすいため、強いボールは蹴りにくくなるのが一般的です。技術的な難易度も高く、プレー中に実用的に使うことのできる選手は限られてきます。

 三笘がアウトサイドキックを使う場面は、大きく分けて、①ゴールエリア付近まで切れ込んでからのマイナス方向へのパス、②正面を向いたまま足元のボールを素早く蹴る、③スピードに乗った状態からのクロス、の3つになります。

 ①は膝下のスナップを効かせて、ピシッと短いグラウンダーのボールを蹴る形ですが、②③で長いボールを蹴るためには、三笘のように蹴り足の股関節をインパクト直前からスムーズに内旋させてスパッと振り抜いていく必要があります。

 さらには、③スピードに乗った状態からアウトサイドでクロスを上げる場合には、軸足の使い方も重要になってきます。接地位置を身体の外側(左)寄りにすることで、踏み込んだ後に上半身が蹴り足側(右)に重心移動していく動きが誘発されます。この横方向の動きを蹴り足のスイングに上手く参加させられると、インパクトで身体の重さも乗っていきます。

 これらの一連は、他の種類のキックでは見られない特有の動きになります。卓越した「アウトサイドキックの使い手」である三笘は、この軸足の使い方が上手く、強いボールを蹴ることができる一因となっています。

 身体を若干内側に傾けながら、右側に重心移動させていくようなこの左脚の使い方は、左サイドで縦に突破して中に切れ込む動きや、ディフェンスラインの裏に抜ける膨らみながらの斜め方向へのスプリント、内側へのカットイン、といった三笘の得意なプレーと同系統の動作になります。

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