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コラム 3週間前

「メンタル的にキツかった」熊坂光希には分岐点がある。柏レイソルU-18のBチームからサッカー日本代表に入るまで【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井圭 photo by Getty Images

リカルド・ロドリゲス監督からかけられた言葉「それを見て使っているから」

 プロになってからもケガによる苦難は付きまとった。1年目から前述のちばぎんカップで先発するなど期待値は高かったが、その試合で負傷。ルーキーイヤーは本領を発揮できなかった。

 そしてリカルド監督の就任が、熊坂の立ち位置を高めていく。「プレシーズン第1週目の最初のトレーニングマッチから攻守にわたっていいプレーをしていた」と指揮官が期待を寄せると、キャンプでもアピールに成功。熊坂も「キャンプからいいプレーができていた」と自負し、シーズンが開幕すると実際に第1節・アビスパ福岡戦からスタメンに抜擢される。監督からは「それ(プレシーズンの出来)を見て開幕スタメンに使っているから、自信を持ってやっていいよ」と声をかけられたという27番は、序盤戦から出色のパフォーマンスを披露した。

 特筆すべきは、2年目という新参者ながら物怖じせずにJ1トップクラスの“球際の強さ”を持ち味とするプレーヤーたちとのバトルに勝っている点だ。第4節の浦和レッズ戦で安居海渡から見事にボールを奪取すれば、華麗なターンで見せ場を作った第9節・ガンバ大阪戦はイッサム・ジェバリを弾き飛ばして刈り取る。

 さらに第16節のファジアーノ岡山戦では、国内屈指の強靭なフィジカルを誇るルカオにマンマークで付かれる状況に。思い切り体を入れられて「感じたことのないくらいの体の強さだった」と弾き飛ばされるも再び熊坂から競りに行って勝利し、カウンターの芽を摘んだ。

 アンカーとして中央の軸に据えられる現在は、どの対戦相手もまずは熊坂を潰しに行くように誰かをマンマークで付かせたり、中央からの前進を拒む配置を仕掛けたり、さまざまな対策を講じてくる。相手の対策を見れば、いかに熊坂が警戒されているかがよくわかる。

 リカルド監督も「チームで最も重要な選手の1人」と27番を絶賛しており、森保一監督の口から名前が呼ばれるようになるのは時間の問題だった。高校時代に身につけた技術、そして大学で急激に伸ばした強さ。彼の生きてきた軌跡がストロングポイントとして培われている。

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