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コラム 6か月前

「それを最後までできなかった」安居海渡は驚いていた。浦和レッズが「逆転という形に陥った原因」【現地取材コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「Jリーグでは経験のないスピード感」

 実際、リーベル戦後の安居は「正直、緊張していて固くなっていた。Jリーグでは経験のないスピード感もあって、そこは正直、やってて驚きもありました」と苦渋の表情を浮かべていた。勝負を分けた2失点目にも関与しており、「あの時は最初の(長沼)洋一君のところでクリアしていたら状況は違っていたと思うし、自分もデュエルで勝ち切れなかった」と悔しさも吐露していた。

 年代別代表経験のないボランチにとって、世界の32チームが参戦するこれだけのビッグトーナメントというのは未知なる世界に他ならなかったのだろう。その凄さや怖さを体感したことで、インテル戦はいい意味で割り切ってチャレンジャーになれたのではないか。

 前半は0−1で終了。FIFAの公式データによれば、ボール支配率はインテルの70%に対し、浦和が17%(中立9%)、シュート数も相手の9本に対し1本と、圧倒的劣勢を強いられた。それをさらに45分間続けることは至難の技だったが、持ち前の粘り強さと闘争心を前面に押し出して戦い抜くしかない。特に中盤のダイナモ・安居は圧倒的走力を武器に、率先してチームを引っ張ることが強く求められた。

 案の定、後半に入ってからも浦和のポゼッション率は上がらず、一方的な守勢を強いられ続けた。そこで畳みかけるべく、インテルのクリスティアン・キヴ監督はヘンリク・ムヒタリアンやバレンティン・カルボーニら持ち駒を次々と投入。ハカン・チャルハノールやマルクス・トゥラムといったエース級をケガで欠いてはいたが、豊富な選手層を生かし、攻撃の圧を強めてきたのだ。

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