「スピード感に慣れてないところは確かにあった」
それでも浦和は必死に守り、ゴールを与えないまま、ラスト15分を切った。逃げ切り体制に入ろうとしていた78分、左CKからラウタロ・マルティネスにまさかの芸術的ゴールを決められてしまう。試合は1-1の振り出しに戻り、勝ち点3を取れる確率は一気に低下したが、まだ1ポイントを死守できる可能性はあった。彼らは何としてもそれを遂行しなければならなかった。
けれども、後半アディショナルタイムにその願いを打ち砕くインテルの一撃が飛び出した。すでに自陣で引いて守るのが精一杯になっていた浦和だったが、最終的にカルボーニのシュートがネットを揺らし、2−1でタイムアップの笛が鳴り響いてしまったのだ。
「みんながセーフティーにやったり、もっと背後に蹴ったりすることも重要だったと思いますし、動けなくなっていたとはいえ、声を出していればどうにか防げるところはあった。それを最後までできなかったのが、逆転という形に陥った原因かなと思いますね」
90分間フル稼働した背番号25はガックリと肩を落としたが、これこそが世界最高峰の底力だ。1-2という結果を含め、果てしない基準の高さを安居はまざまざと見せつけられる格好となった。
「スピード感に慣れてないところは確かにあった。いつもなら自分がガシャンとぶつかっていけばボールを取れているところでも、相手の方に転がったりした時もありました。そのあたりは相手の出だしも速さ、ボールの置きどころの違いかなと感じます。
改めてこういう大会に出れて、このレベルを感じられたのは、ポジティブなこと。もう敗退は決まってしまいましたけど、そういうふうに見たいですね」
彼は神妙な面持ちでコメントしていたが、世界トップと真っ向勝負を演じた経験値は本当にかけがえのないもの。リーベル戦からインテル戦に至る短期間で自身の頭をしっかり整理し、彼なりに対処法を見出し、敵を封じた点も前向きに捉えていい。課題もあったが、安居はまだまだ伸びしろの大きな選手。未来への可能性を感じさせてくれたことは朗報だ。
インテル戦の悔しい逆転負け、今大会のグループ敗退という結果をムダにしてはいけない。これを糧にここからのキャリアを充実したものにするしかない。彼には成長曲線を一気に引き上げてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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