「心の底から思っていた」長野風花は2人のために…
「(池田)太さんのために勝ちたいって心の底から思っていたし、それと同時に(熊谷)紗希さんのためにも絶対勝ちたいって思っていた」
2021年から指揮を執っていた池田監督の下で、チームは一丸となって戦っていた。初戦で清水梨紗が負傷し、新型コロナウイルスによる体調不良者も続出している。
それでも、チームがバラバラになることはなかった。池田監督と熊谷に金メダルをかけたいという思いは、チーム全体に共有されていた。そのために、長野は走り続けた。
「大人になってああいうチームに出会えることはないと思っていたので、本当に大好きなチームでしたね」
準々決勝もあと1歩のところだった。限られた戦力の中で、なでしこジャパンは懸命に守った。多くのチャンスを作らせることなく0-0で90分を終えたが、米国女子代表がワンチャンスをものにしている。攻め続けられた試合だったが、最後まで崩れることはなかった。勝敗の差はわずか。
だからこそ、敗れたときは悔しさがこみ上げた。
「強がりとかではなく、本当に紙一重だなっていうか。別に負ける相手では本当になかった」
ただ、それと同時に、その紙一重の差が何だったのかも知る大会になった。
