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コラム 5か月前

「もう無理ってなりそう」長野風花は苦しんでいた「でもサッカーが好き」なでしこジャパン10番の転機となった2年間【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Reiko Buma

「見習いたいなと思いました」リバプールで学ぶサッカーとの付き合い方

「海外の選手はサッカーがすべてというよりは、サッカーが生活の一部にある感じで、自分のライフを充実させながらプレーしている。それを見ていると、彼女たちはやっぱり切り替えも上手だし、やるべきときに力を出せるから、見習いたいなと思いました」

 生まれ育った日本を離れると、サッカーに専念することができる。それはときにその環境から逃げられなくなることを意味する。だからこそ、意識的にサッカーから離れる時間を作ると、サッカーに向き合うパワーが生まれる。

 リバプールで個人として着実に成長する長野だが、いつ何時もチームの勝利が根底にはある。「個人を疎かにしているわけではなく」と前置きしながら、「私は本当にチームが勝てば、それが幸せなので」と語る。なでしこジャパンが優勝するために、リバプールで得たものをなでしこジャパンに還元しようとしている。

 長野の貢献度は数字に残りにくいが、数字に残りにくい貢献をしてくれるからこそ長野がピッチに立ち続けているとも言い換えられる。もちろん、すべてが高いレベルにあるが、世界的に見ればとびぬけた技術や圧倒的なフィジカルがあるわけでもない。ただ、必要なときには必ず長野がいてくれる。助けが必要なときに走ってくれる。

 タフで献身的なプレースタイルの原点はどこにあるのか。それを知るには10代までさかのぼる必要がありそうだ。

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