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コラム 5か月前

「もう無理ってなりそう」長野風花は苦しんでいた「でもサッカーが好き」なでしこジャパン10番の転機となった2年間【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Reiko Buma

「本当に何もできなかった…」異国で直面した現実

なでしこジャパンMF長野風花(リバプール・ウィメン)
【写真:武馬怜子】

 長野は18歳のときに韓国へ渡っている。浦和レッズレディース(現・三菱重工浦和レッズレディース)から仁川現代製鉄レッドエンジェルズへと移籍した。

 飛び級だった2014年大会から、2大会連続でFIFA U-17女子ワールドカップに出場していた。当時のことを長野はこう振り返っている。

「あんまり考えてやっていたとかはないですね。U-17日本女子代表のときも、感覚でプレーしていた感じはめちゃめちゃありました」

 ただ、そんな現状に満足はしていなかった。「それが別にダメなわけじゃないけど、もっと自分の引き出しを増やした方がいいなと思って」。そして、そのころから海外でプレーするという選択肢が頭にはあった。

 チェルシーの練習参加を経て、韓国の仁川現代製鉄に加入した。意外にも、韓国で痛感したのは「技術不足」だった。

「韓国でインサイドハーフのポジションをやって、本当に何もできなかったんですよ。ボールの受け方、ポジショニング、何一つ通用した部分がなくて……」

 韓国でプレーしていた2018年8月にはFIFA U-20女子ワールドカップにも出場している。U-20日本女子代表の10番を背負い、決勝ではグループリーグで敗れたU-20スペイン女子代表にリベンジを果たした。

 長野自身も決勝で勝利を決定づけるゴールを決めているが、大会を通じてみると個人として満足できる出来ではなかったという。2度のU-17ワールドカップ、そしてU-20ワールドカップ。世界での経験が、現状では満足できないという思いを強くしていく。

「世界にはこんなとんでもない選手がいるんだと思ったのが、世界に行きたいと思った最初のきっかけですね。ワールドカップで対戦した選手が凄くうまかった」

 そんなとき、1人の指導者との出会いがあった。それが、長野の運命を変えていく。

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