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コラム 3日前

パルマの新監督に大抜擢。29歳のカルロス・クエスタとは何者なのか。アーセナルにも認められた才能の原点とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

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 サッカー日本代表GK鈴木彩艶も所属するパルマが、大きな決断を下した。クラブを去ったクリスティアン・キヴに代わり、新監督に就任したのは、29歳のカルロス・クエスタ。世界的には、まだまだ無名の存在である。なぜパルマはこの男を迎えたのか。その経緯と、若き指揮官の人物像に迫る。(文:佐藤徳和)

突如として決まった無名の新監督

パルマの新監督に就任したカルロス・クエスタ
【写真:Getty Images】

 パルマは大きな“賭け”に出た。6月25日、29歳のカルロス・クエスタを新監督に迎えることを正式発表した。このスペイン人の名を耳にして、ほとんどの人は「一体何者なのか?」と首をかしげたはずだ。

 パルマは、24/25シーズン途中の2月18日、ファビオ・ペッキアを解任。クリスティアン・キヴを新監督に迎え、2年契約を締結していた。20チーム中16位と苦しんだものの、目標であるセリエA残留を達成し、本来であれば、25/26シーズンもキヴが続投するはずだった。

 ところが、このパルマのテクニカルスタッフ人事に、インテルの監督交代劇が大きく影響を及ぼす。インテルの指揮官、シモーネ・インザーギの電撃退任だ。年俸2000万ユーロ(約32億円)という巨額オファーを受諾し、サウジアラビアのアル・ヒラルで指揮を執ることとなった。

 新監督候補には、コモのセスク・ファブレガス、マルセイユのロベルト・デ・ゼルビの名が挙がる。前者は、インテルがオファーを提示した模様だが、コモ側が手放さず。後者は、インテルからの関心を否定した。こうして、インテルの新監督候補には、パルマのキヴが浮上。6月9日、パルマがキヴとの契約解除をリリース。同日、インテルは、新監督にキヴの就任を正式にアナウンスした。

 こうして、パルマは監督人事の再考を余儀なくされた。当初、パルマとの接触の可能性が取り沙汰されていたのが、前フィオレンティーナ監督のラッファエーレ・パッラディーノ、前ジェノア監督のアルベルト・ジラルディーノ、前トリノ監督のパオロ・ヴァノーリの3名。いずれも、現役時代にパルマでプレーした実績のある指導者だ。

 さらに、前ベルギー代表指揮官のドメニコ・テデスコの名も挙がったが、最有力と目されていたのは、昨シーズン序盤でローマの指揮官の座を解任されたダニエレ・デ・ロッシだった。しかし、決まったのはまったく無名の人物だった。競馬に例えるならば、出走登録すらされていなかった競走馬が、突如レースに参戦して、最後尾から一気に全員を追い抜き、1着でゴールしたようなものだ。

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