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コラム 4か月前

ラツィオはなぜ今夏の補強が許されないのか。「俺たちだけ」とサポーター憤慨。絶体絶命のロティート会長とクラブの現状【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

プレシーズンの出来は上々? どうなる今季のラツィオ

 とりわけ、ダニーロ・カタルディとマッテオ・カンチェッリエーリは、貴重な戦力として期待がかかる。

 カタルディはビアンコチェレステの下部組織出身で、カピターノも務めた経験を持つ正真正銘のラツィアーレだ。

 昨季は、フィオレンティーナにレンタル移籍し、セリエAで自己最多の3ゴールを記録。シーズン終了後に辞任したラッファエレ・パッラディーノが続投していれば、買い取られていた可能性は高い。今季は、司令塔のニコロー・ロヴェッラのバックアップ役として起用が見込まれている。

 パルマからレンタルバックのカンチェッリエーリは、当初は、再び放出されるとの見方が有力だった。だが、ここにきて、評価はうなぎ登り。8月2日に行われたガラタサライとのプレシーズンマッチでは、サイドを切り裂き、マッティア・ザッカーニのゴールをアシスト。残留どころか、右FWの定位置を確保する勢いだ。

 昨季のスュペル・リグ王者、ガラタサライとの一戦では、敵地にもかかわらず、2-2で引き分けた。チームの仕上がりに関しては、それほど悲観するものではないだろう。むしろ、こういった逆境の中では、チームの一体感や結束力も生まれ、相互理解も深まっていくはずだ。

 そして何より、サッリの采配にも大きな期待が寄せられる。

 サッリは、22/23シーズンにセリエAでラツィオを2位に導いた。これは、ラツィオにとって、スクデットを獲得した99/00シーズン以降で最も良い成績である。さらには、シーズンシートの売り上げが、2万7200枚を突破。この数字は、ロティート体制下で過去4番目に多かった09/10シーズン(2万7324枚)に迫るものだ。

 補強が一切行われない中で、このような数字が出るのは極めて異例だ。サポーターは、チームを見捨ててはいなかったのだ。前例のない状況ではあるが、補強を禁じられたクラブがどこまで戦えるのか。

 補強を行わずにも、好成績を残せる。そんな強い意志と覚悟が、チームの中には漂っている。ラツィオのセリエA開幕節は8月30日。大補強を行っているコモとのアウェイ戦だ。

 果たして、補強が一切できなかったラツィオがそんな相手とどのような戦いを見せるのか。注目が集まる。

(文:佐藤徳和)

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