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コラム 4か月前

「壁にぶち当たりに行く」鈴木唯人は逆境を糧にブンデスリーガへ駆け上がった。苦しい日々と引き換えに「必ずいいときが来る」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

鈴木唯人が選び続ける道「成長するには一番早い」

「難しい環境に身を置くことが間違いなく成長するには一番早い」

 清水に加入するときもそうだった。「J2からのオファーはありましたけど、とりあえずJ1からオファーが来ているのに行かない理由はない」と思い、清水加入を決めた。

 もう1つ学んだのは、休むことの重要性だ。高校生に、時には休むことが大事だと伝えていたのが印象的だった。

「自分は向こう(デンマーク)でシーズン中にあるときにサッカーから離れて、またサッカーに戻ることで、新たなフレッシュな気持ちで迎えられる感覚を得ることができた。それを続けていたらコンスタントに結果もついてきましたし。ある意味で休むことも大事なんだなと最近感じているところだったので」

 決して日本人の多くないデンマークで孤独を感じていたら、サッカーから離れられなくなる悪循環に陥っていたかもしれない。現地での交友関係は、こういった意味でもプラスに働いた。

 シャイな性格と自称する鈴木は、海外に身を置くことで「シャイ(な性格)はだいぶなくなったのかな」と言う。これも活躍するためには必要な成長だった。

 そのような環境の中で自らの価値を見せた鈴木は、再び5大リーグでプレーするチャンスを勝ち取った。フライブルクへの移籍金は700万~800万ユーロ(約11.2億~12.8億円)とドイツメディア『スカイ』は報じている。

 リーグのレベルは数段上がる。それは鈴木にとってまた新たな大きな壁にぶつかることを意味しているかもしれない。ただ、鈴木はこれまでのように、その先に必ずいいときが来ることを知っている。より高いレベルで輝くその日のために、鈴木はドイツで成長し続ける。

(取材・文:加藤健一)

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