昇格請負人の元、シチリアの誇りを取り戻す
24/25シーズンはセリエCに参戦したが18位に終わり、プレーアウトにも敗れて再びセリエDに降格。“暗黒時代”が続いている。
パレルモFCの宿敵であり、森本貴幸も在籍したカターニャFCは、13/14シーズンが最後のセリエAだった。2021年12月に破産し、買収希望者が現れなかったため、2022年4月にプロリーグから除外された。
しかし、22/23シーズンのセリエDのグループIを制してセリエC復帰を果たし、昨季は5位でプレーオフに進出。14/15シーズン以来のセリエB昇格は叶わなかったが、復調の兆しを見せている。そしてシチリアの雄、パレルモFCもまた、16/17シーズンを最後にセリエAの舞台から遠ざかる。
22/23シーズンからの3年間、セリエBを9位、6位、8位と昇格に向けて足踏みしている。そんな状況の中で監督に迎えたのがインザーギだ。ピッポは、昨季のセリエBでピザを指揮して、セリエA昇格に導いたものの、契約を破棄して、パレルモFCを選択した。
19/20シーズンにはベネヴェントでもセリエBで優勝し、昇格を成し遂げている。その新監督を2000人以上のサポーターがスタジアム前の広場に集結し、王の戴冠式のように迎えた。
すでにシチリアの魅力に取り憑かれていたピッポは「これは、私がこれまでに受けた中で最大の歓迎だ。今日、なぜ私がパレルモを選んだのか、みなさんにも伝わったのではないか。これまでは敵としてこの地に来て興奮を味わってきたが、ようやく皆さんと一緒に体験できる。お願いしたいのはただひとつ。あなたがたは“12人目の選手”。我々はみなさんの力を必要としている」と語った。
昇格請負人を招聘し、機は熟した。初戦の相手は、23日のレッジャーナ。シチリアの誇りを取り戻すべく、パレルモFCの新たなシーズンが今、幕を開ける。
(文:佐藤徳和)
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