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Jリーグ 3か月前

「見てくれるのかな」京都サンガF.C.、太田岳志に芽生えた新しい感情。これまでは雲の上の存在、今は「目標に」【コラム】

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「チームがピリついた空気になりました」

「ただ、逆にもっと突き詰めなきゃいけない、という戒めになりましたし、岡山戦では実際にチームがピリついた空気になりました。もちろんゴールキーパーである以上、ゼロという結果にはこだわっていますけど、ゼロを実現できているのも僕だけの力ではないので、チームのみんなには本当に感謝しています」

 太田が2戦連続でクリーンシートを達成したのも今夏が2度目となる。最初は2023シーズン。北海道コンサドーレ札幌との第24節に3-0で、アビスパ福岡との第25節に2-0で勝利している。

 大阪学院大学から加入したJ2のFC岐阜からJ2の東京ヴェルディ、J3のカターレ富山をへて2019シーズンのオフに当時J2だった京都へ加入した時点で、太田のリーグ戦出場は7シーズンでわずか27試合。クリーンシートを続けようにも、出場機会そのものを思うようにえられない選手だった。

「自分が試合に出られない時期は、個人的にレベルアップする時間として必死に練習してきました」

 こう語る太田をいまも奮い立たせる金言がある。出会いは富山へ移籍した2018シーズンだった。

「富山にいたときに監督の安達亮さんが『サッカーは何歳になっても、必ずうまくなる』と言ってくれたんですね。その言葉をずっと胸に刻みながら、今シーズンもプレーしています」

 しかし、富山の1年目も出場機会をえられない。翌2019シーズンも7試合の出場にとどまり、戦力外を通告されたオフに京都から声がかかった。当時29歳の太田は背水の陣を敷いたと振り返る。

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