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Jリーグ 3か月前

「見てくれるのかな」京都サンガF.C.、太田岳志に芽生えた新しい感情。これまでは雲の上の存在、今は「目標に」【コラム】

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「このチームが最後になる」

「京都に来た時点で、このチームが最後になると思っていました。J3のクラブをクビになってここに来させてもらった以上は、本当に1年1年、1日1日が勝負だと自分に言い聞かせてきました」

 さらに今シーズンまで至る「26番」を自ら希望して背負った。岐阜や富山で背負った「21番」を変えた理由は、2シーズンで出場なしに終わったヴェルディ時代に受けた深い感銘だった。

「ヴェルディでは柴崎貴広さんと一緒にプレーさせてもらいました。柴崎さんもなかなか試合に出られず、セカンドキーパーの時期が長かったなかで人柄や立ち居振る舞いを含めて、選手だけでなく人としても心から尊敬できる先輩でした。なので、柴崎さんがつけていた『26番』を京都で背負いたい、と」

 柴崎さんは35歳になった2017シーズンに、リーグ戦で初めて全42試合、3780分にわたってフルタイム出場を果たしている。当時の柴崎さんは背番号を「1」に変えて2シーズン目。そして、岐阜からヴェルディに加入した2016シーズンに、柴崎さんが長く象徴としてきた「26番」を受け継いだのが太田だった。

「僕自身、何歳になってもチャンスは必ずあると信じて、常に日々の練習に打ち込んできたので」

 こう語った太田は、京都がJ1へ昇格した2022シーズンを含めて、最初の3年間はリーグ戦で出場機会がなかった。それでも主戦キーパーの怪我や不調などで、2023シーズンに12試合、昨シーズンには8試合とゴールマウスを守った。迎えた今シーズン。開幕から先発のファーストチョイスを担った。

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