「気が抜けたプレーだけは絶対に許されない」
ここまでリーグ戦で26試合で先発出場。残る2試合で先発した昨シーズンまでのレギュラー、元韓国代表のク・ソンユンが7月にKリーグ2部のソウルイーランドFCへ移籍したなかで、くしくも柴崎さんと同じく35歳になるシーズンに、初めて守護神を拝命したサッカー人生のターニングポイントに心を震わせる。
「それ(柴崎さんの立ち居振る舞い)を体現できている状況をうれしく思っています。他のキーパーたちが試合に出られない悔しさを抱いているなかで、気が抜けたプレーだけは絶対に許されないし、もし自分がそうしてしまえば、京都のゴールキーパーチームはそういう選手たちの集まりだと思われてもおかしくない。そういうメンタリティーや責任感といったものが、今シーズンにさらに変わったところですね」
身長190cm・体重86kgの恵まれたサイズに、プロ1年目の2013シーズンから、長い時間をかけてコツコツと蓄積させてきたシュートストップ術やハイボールやクロスへの安定した対応、ハイラインの背後に生じるスペースをカバーする機動力をフルに発揮。開幕から上位をキープする京都を最後尾で支えてきた。
さらに夏場に奈良クラブから期限付き移籍で加入した、スペイン出身のGKマルク・ヴィトが武器にする多彩なフィードを学ぼうとするなど、成長への貪欲な思いも忘れなかった過程で太田のなかに大きな変化が生じた。それは年代別を含めていっさい無縁だった、日本代表に抱く憧憬の思いだと太田が言う。