明治安田J1リーグ第28節、清水エスパルスは鹿島アントラーズと1-1で引き分けた。7月に浦和レッズから加入した高橋利樹は、リーグ戦4試合連続でスタメン出場を続ける中、ついに待望の移籍後初ゴールを挙げた。出場機会を求めてたどり着いた新天地で、27歳のストライカーはがむしゃらに結果を追い求めている。(取材・文:藤江直人)
待望の移籍後初ゴールを決めた高橋利樹

【写真:Getty Images】
すねのあたりか。あるいは膝のあたりか。右足のどの部分だったのかは関係なかった。気持ちを込めて体でボールを押し込もうと、清水エスパルスの高橋利樹は相手ゴール前へ飛び込んでいった。
ホームのIAIスタジアム日本平に、首位争いを演じる鹿島アントラーズを迎えた8月31日のJ1リーグ第28節。27歳のストライカーが待ち焦がれた瞬間は、両チームともに無得点で迎えた20分に訪れた。
左タッチライン際で左サイドバック(SB)の山原怜音とシャドーの乾貴士がパスを交換。その間にハーフウェーラインを超えて敵陣へ侵入したボランチの宮本航汰へ、山原から縦パスが入った直後だった。
最前線にいたもう一人のシャドー、松崎快が時計回りに弧を描きながらラインブレイク。オフサイドぎりぎりのタイミングで左サイドのスペースへ抜け出し、宮本からのスルーパスを呼び込んだ。
縦へ抜け出していく松崎の姿を見ながら、高橋はゴールまでの青写真を脳裏に思い描いていた。