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Jリーグ 3か月前

「J1で通用するところを…」高橋利樹は清水エスパルスで生まれ変わる。主戦場で勝負できなかったあの時を乗り越えて【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「僕自身、エスパルスに加入してからずっと…」

「裏へ抜けた(松崎)快がフリーの状況だったので、自分はゴールキーパーとディフェンスラインの間に走り込もうと。そこへ快がうまくボールを送ってくれたので、あとは自分がゴールへ押し込むだけでした」

 松崎はセオリー通りに、サッカー日本代表に選出されている鹿島の守護神・早川友基と最終ラインとの間に低く速いグラウンダーのクロスを供給する。次の瞬間、利き足の左足から放たれたボールは必死にダイブした早川が伸ばした左手の下をすり抜ける。ボールウォッチャーになっていた鹿島の守備陣もボールに触れない。

 高橋はこのとき、鹿島のセンターバック(CB)のキム・テヒョンと左SBの小川諒也の間へ走り込んでいた。死角となる背後を突かれたテヒョンも、目の前に飛び込まれた小川もまったく対応できない。最後はスライディングしながら右足でゴールネットを揺らした高橋は、はね返ってきたボールを拾いあげた。

 雄叫びをあげながらボールをピッチに叩きつけると、ユニフォームの左胸エンブレムの部分を手繰り寄せてキス。さらに右手で左胸をポンポンを叩いて、オレンジ色に染まったゴール裏を熱狂させた。

「僕自身、エスパルスに加入してからずっと点を取れていなかったので、今日こそは何としても、という気持ちがありました。ようやくゴールを決められて、すごくホッとした、という思いがあります」

 浦和レッズから完全移籍で加入して1カ月あまり。公式戦出場5試合目。そのうちリーグ戦では4試合続けて1トップの先発を託されてきたなかで、250分目にしてようやく新天地で爪痕を残せた。

 5試合ぶりとなる先制点を清水にもたらしたストライカーは、こんな言葉をつけ加えるのも忘れなかった。

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