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Jリーグ 3か月前

「J1で通用するところを…」高橋利樹は清水エスパルスで生まれ変わる。主戦場で勝負できなかったあの時を乗り越えて【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「あのヘディングを決めてくれたら本物の巻誠一郎なんですけど」

「さらに成長するためにはもうひとつ、あのヘディングを決めてくれたら本物の巻誠一郎なんですけど」

 指揮官が言及した「あのヘディング」とは、エンドが変わった54分に迎えた決定機を指す。ゴールキーパー梅田透吾のロングパントを、乾が敵陣の左タッチライン際で受けて発動させたカウンター。巧みな切り返しで鹿島のマーカーを剥がした乾は、すかさずファーへ絶妙のクロスを供給した。

 直前に清水陣内でセットプレーを得ていた鹿島は、ほとんどの選手が戻り切れていない。ボールは必死にジャンプした小川の頭上を越えて、ファーへフリーで走り込んできた高橋の頭にピンポイントで合致。追加点を奪ったと思われた直後に、シュートは無情にもゴールの枠をとらえられなかった。秋葉監督が続ける。

「あのヘディングは巻誠一郎なら決めている。もちろん彼にとっての初ゴールはチームとしても素晴らしいものでしたけど、もう2つばかり取れるチャンスがあった。また泥臭くやってほしいと思います」

 試合は74分に右コーナーキックを鹿島のキャプテン、DF植田直通が頭で叩き込み、そのまま1-1で引き分けた。8月の公式戦を3分け2敗と未勝利で終えた責任を背負うように高橋はこう語った。

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