「彼はそういったプレーができる選手」
「敵味方で対戦したときから、彼はそういったプレーができる選手でした。素晴らしいパスでした」
加藤陸次樹が完璧なダイビングヘッドで決めた先制ゴールをアシストしたのも中島だった。
自陣の左サイドからDF塩谷司が送った縦パスに対して、今夏までチームメイトだったMF松本大弥を背負いながら、ハーフウェイライン付近までポジションを下げてきた中島が突如として仕掛けた。
中島が選択したのは相手の虚を突く右足によるフリックパス。左タッチライン際でパスを受けたFWヴァレール・ジェルマンがボールを前へ運ぶ間に、ターンした中島は内側のレーンを駆けあがっていく。
大岩がジェルマンのマークについた関係で、湘南のゴール前には大きなスペースが生じていた。対応が遅れた松本も中島に追いつけない。そしてジェルマンのパスを呼び込み、ペナルティーエリアの左まで走り込んできた中島がワンタッチで左足を一閃。低空の高速クロスの軌道が加藤の頭とピンポイントで合致した。
広島の公式X(旧ツイッター)で「ノールック」と称賛されたフリックパス。中島は「ヴァレ(ヴァレール)の姿が見えていたので」と、間接視野で把握していたと明かしながらこう続けた。
「(ゴールキーパーと最終ラインの)間に速いクロスを入れるイメージ通りでした」
普通のプレーだと受け止めていたからか。言葉が少ない中島に代わって加藤が声を弾ませる。