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J2 3か月前

「自分がヒーローに…」郷家友太はあの日の涙を力に変える。人生を変えてくれたベガルタ仙台へ恩返しするために【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人

「戦わないやつはいらない」

 目標とは2021シーズンを最後に遠ざかっているJ1への復帰。しかし、郷家が10ゴールをあげた2023シーズンの仙台はJ2におけるクラブ史上ワーストの16位に終わる。そして、昇格争いに縁遠かった仙台を変えたのが昨シーズンから指揮を執る、育成年代のU-17日本代表を長く率いた森山監督だった。

 森山監督がまず求めたのは「戦う姿勢」だった。試合へ向けたミーティング。スクリーンに映し出される映像の最後に出てくる「戦わないやつはいらない」という文字に、郷家はハッとした思いに駆られた。

「2023シーズンの僕は点こそ取れていましたけど、それ以外の献身性の部分とか走るところ、戦うところがもしかしたら疎かになっていた。監督がゴリさんになったなかで、自分も変わらなきゃいけない、このJ2リーグを勝ち抜くためにはもっと自分がやらなきゃいけないと思えたんです」

 リーグ戦で6位に食い込んで終えた昨シーズン。J1昇格プレーオフ準決勝で3位のV・ファーレン長崎に敵地で4-1と快勝し、下剋上を起こした仙台は昇格をかけた決勝で一敗地にまみれた。4位のモンテディオ山形を同じく敵地で3-0と一蹴し、勝ちあがってきたファジアーノ岡山0-2で完敗した。

 うなだれる選手たちへ、ベンチに入れなかったキャプテンの遠藤康さんが「岡山の姿を目に焼きつけよう」と檄を飛ばした。ゲームキャプテンを務めていた郷家は、号泣しながら前を向いて決意を新たにした。

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