覚悟の復帰。一度は固辞した背番号も…
「ここで止まらないよ、という意思表示です。あと9試合、本当に死に物狂いで戦わなければいけない」
角田は、そう話しながら取材エリアでも同じ様子を見せていた。
それまで表情に悔しさを滲ませながら記者の目を見ていた目線は、サポーターの話に移ると斜め上を向いていく。あのときの映像を頭で思い浮かべながら、同じように目線に意思を込めているようだった。
「ここで下を向いたら終わりなので、上を向いて戦い続けるしかない」
そもそも、角田が1年半で海外生活を終えて古巣に復帰した最大の理由は、「チームが苦しんでいる姿を見て、助けたいと思った」からだ。
海外でのプレーを続ける選択肢がありながら古巣を救うことを決めた覚悟は、背番号にも表れている。偉大な先輩である中澤佑二氏が背負い続けた22番。移籍する前に一度は固辞した番号を背負うことを決意した。
だから、チームを勝たせたい。
「これからも勝たなかったら何も意味がない試合が続くし、僕の力で勝たせたいです。チームに力みたいなものをうまく伝染させたいと思っています」
力を伝染させる。背番号で想起するのが中澤氏なら、その言葉を聞いて思い出すのは、松田直樹氏だ。