フットボールチャンネル

Jリーグ 3か月前

掃除から始まった軌跡。下田北斗が切り拓いたFC町田ゼルビアの新たな歴史。「幸運を引き寄せようと…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「あそこが空いてくるかな、というイメージがあった」

「相手の右センターバック(CB)と右サイドバック(SB)の選手が割れているのはわかっていたし、自分をマークするボランチの選手もついてこない感じだったので。中2日での試合もあって、かなりきつかったんだと思うし、相手が置かれた状況的にもあそこが空いてくるかな、というイメージがあったので」

 下田の言う「あそこ」とはペナルティーエリア(PA)内の左側のポケット。林は相手の右SBを引き寄せ、ポケットへと通じるスペースをさらに広げたうえで、以心伝心で下田が走り込んでいく先へ短い縦パスを通した。PA内ではFW相馬勇紀がニアへスプリントして相手のマークを引きつけていた。

 11月には34歳になるベテランが視野にとらえていたのはここまで。下田がさらに続ける。

「幸多郎もシンプルに自分を使ってくれましたし、相手選手が相馬に引きずられている状況もあったなかで、自分は左利きなのであとはもう中を見ないでいこうと。とにかく点を取ろうという思いでした」

 狙い通りに左ポケットを突いた下田はスピードをほとんど落とさない体勢から、上半身を強引に捻りながら利き足の左足を一閃。ややマイナス気味の方向へ、グラウンダーのクロスを供給した。

「キーパーとディフェンスの間に速いボールも入れたいですけど、相手も結構下がっていると思うし、逆にマイナス方向はちょっと空くかなと。ほぼ見ていないので、本当に感覚的なところですけど」

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!