「だから、嫌とは言えない」

「サイドの駒はいると思うけど、自分が本来のポジション以外で使われるわけだから、嫌とは言えない。ここで結果を残せば幅が広がる。そこはポジティブにやっていくけど、“でも”という気持ちはある。

　自分を一番発揮できるところでやりたい思いはある。僕自身は中央の選手だと思っている。トップ下やボランチのところが自分の特徴が一番出るのは間違いない。ただ、今は与えられたポジションでどうやってチームに貢献していくかを考えるしかない。やりたいと言っても決めるのは監督」

　迎える最終盤は文字通りの総力戦になりそう。怪我人が多い台所事情もそれを加速させ、チーム一丸となってJ2降格だけは阻止したい。本来のポジションで輝く選手もいれば、異なるポジションで地道にチームを支える選手もいるだろう。

　天野純は後者だとしても、迷いなく矜持を貫く。

「試合に出ていればチャンスはある。どこのポジションだろうと天野純は天野純。自分のプレーを見せたい」

　ベテランの域に足を踏み入れつつあるレフティーの前には一点の曇りもない視界が広がっている。

（取材・文：藤井雅彦）

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