長距離移動と連戦。「体重、減っていません?」
世界を見ればそのような過密日程は「トップ選手のスタンダード」なのだが、望月は1年半前まで大学生だった発展途上の若者だ。
元々細身の彼だが、向き合って会話していて頬が以前より明らかにコケていることに気づいた。
「体重、減っていません?」と問いかけると「減っているとは思うんですけど……」という曖昧な答えが帰ってきた。それこそ体重計に乗る暇もない忙しさなのだろう。
もっとも、望月はそんな日々に対して前向きだった。
「(忙しくて)何も考えられていなくても、得ているものはあると思います。アメリカ戦のように自分の通用しないものが見つかったり、今日の広島戦もそうですけど、一つ一つの試合、練習で得るものがあります。そこは一つ一つ吸収しながら、歯を噛み締めながら、楽しみながらやっています」
彼は最後にこう言い残して、広島駅に向かう選手バスに乗り込んだ。
「大変ですけど、その大変さを味わえるのは本当に数少ない選手だと思うので」
この1カ月は望月のサッカー人生でも、最大級の激動に違いない。心身にかかる負荷も大きいだろうし、アメリカ戦、広島戦のような悔しい思いも経験している。ただプロ入り後の彼は失敗、挫折から学び一つずつ成長してきた。
試練は大きければ大きいほど、それを克復したときに得る経験値は大きい。そういう「大変さ」を味わえることは、アスリートにとって本当に幸せな経験だ。
(取材・文:大島和人)
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