サンフレッチェ広島は、独自のスタイルと一貫した哲学をもとに、多くの若手を育てながら結果を残し続けてきた、日本屈指の育成型クラブだ。とりわけ、2012年の初優勝から4年間で3度のJ1制覇を果たす黄金期を築き、国内屈指の強豪としてその名を刻んでいる。そんなクラブの長い歴史の中で、圧倒的な強さを発揮したシーズンはいつだったのか。当時のフォーメーションとともに紹介する。[1/5ページ]
2012シーズン

サンフレッチェ広島、2012シーズンの基本フォーメーション
監督:森保一
主な獲得タイトル:Jリーグ優勝
2006年6月から約5年半に渡って指揮を執り、サンフレッチェ広島の基盤を築いたミハイロ・ペトロヴィッチ監督との契約が終了し、クラブが新たなフェーズへと舵を切ったのが2012シーズンである。
クラブはペトロヴィッチ体制下でコーチを務めた経験もある、OBの森保一を新監督に招聘。前任者が築いた攻撃的なサッカーを継承しつつ、最大の課題だった守備の構築に着手した。
オフには、アルビレックス新潟から千葉和彦、韓国の世代別代表として注目を集めていたファン・ソッコを獲得してディフェンスラインの層を厚くするとともに、サウサンプトンへ移籍した李忠成の後釜として大宮アルディージャ(現RB大宮アルディージャ)から石原直樹を補強。バランスの取れた戦力構成で新シーズンに臨んだ。
迎えたホーム開幕戦の相手は、前年までチームを率いていたペトロヴィッチ監督が指揮する浦和レッズ。槙野智章や柏木陽介など、ユース時代から育て上げた選手を擁する相手に対し、広島は1-0で勝利を収めて好スタートを切った。
チームは開幕5試合を4勝1敗とし、序盤戦から上位争いに加わる。
第12節のヴィッセル神戸戦からは8試合負けなしと好調を維持し、ついに首位へ浮上。ベガルタ仙台との一騎打ちとなる中、第25節の直接対決を2-1で制して首位の座を確固たるものにした。
その後も安定した戦いを続け、第33節のセレッソ大阪戦で悲願のJ1初優勝を達成した。
この年はリーグ2位タイの63得点、失点も2位タイの34と、攻守のバランスが取れた完成度の高いシーズンを送った。
広島の黄金期の幕開けを告げる象徴的な一年となっている。
●基本フォーメーション
▽GK
西川周作
▽DF
森脇良太
千葉和彦
水本裕貴
▽MF
青山敏弘
森崎和幸
ミキッチ
清水航平
森崎浩司
高萩洋次郎
▽FW
佐藤寿人