サンフレッチェ広島は、独自のスタイルと一貫した哲学をもとに、多くの若手を育てながら結果を残し続けてきた、日本屈指の育成型クラブだ。とりわけ、2012年の初優勝から4年間で3度のJ1制覇を果たす黄金期を築き、国内屈指の強豪としてその名を刻んでいる。そんなクラブの長い歴史の中で、圧倒的な強さを発揮したシーズンはいつだったのか。当時のフォーメーションとともに紹介する。[3/5ページ]
2008シーズン

サンフレッチェ広島、2008シーズンの基本フォーメーション
監督:ミハイロ・ペトロヴィッチ
主な獲得タイトル:J2リーグ優勝、FUJI XEROX SUPER CUP優勝
2007年、サンフレッチェ広島が2度目の降格を喫した翌年のシーズンは、クラブにとって大きな転換点となっている。
京都パープルサンガとの入れ替え戦に敗れた直後、エースの佐藤寿人がサポーターの前で異例のチーム残留を宣言。これに呼応するように、他の主力選手たちも次々と残留を表明した。
結果、主力で退団したのは駒野友一のみと最小限にとどまった。その背景には、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の続投がある。
当時の選手たちは、後にクラブの礎となるペトロヴィッチ監督のサッカーに確かな手応えを感じており、フロントもその哲学を信じて続投の決断を下す。
シーズン開幕前のFUJI XEROX SUPER CUPでは、前年度Jリーグ王者の鹿島アントラーズを相手に0−2の状況から追いつき、PK戦の末に勝利。選手たちは確かな自信を手にしてJ2での戦いへと臨んだ。
チームは開幕3連勝の好スタートを切ると、その後一度も首位の座を譲ることなく、圧倒的な強さでJ1昇格を決めた。
開幕当初は2トップを採用していたが、第9節ロアッソ熊本戦を最後に、広島ではおなじみとなる1トップ2シャドーに移行。ボランチを2枚構成としたことで攻守のバランスが劇的に安定し、チームは攻撃でも守備でも相手を圧倒した。
その結果、得点数はリーグ最多の99、失点数は最少の35。数字の上でも他を寄せつけなかった。
1トップの佐藤寿人は28得点でJ2得点王に輝き、2シャドーを担った高萩洋次郎と森﨑浩司もそれぞれ14得点をマーク。J2では反則級の破壊力を誇る攻撃陣が、ぶっちぎりの優勝を手繰り寄せた。
2位モンテディオ山形に勝点22差をつけた独走劇。このJ2での一年は、後の黄金期へと繋がるクラブの基盤を築いた、広島にとって極めて重要な時間だったと言えるだろう。
●基本フォーメーション
▽GK
佐藤昭大
▽DF
森脇良太
槙野智章
ストヤノフ
▽MF
森崎和幸
青山敏弘
リ・ハンジェ
服部公太
森崎浩司
高萩洋次郎
▽FW
佐藤寿人