明治安田J1リーグ第37節、東京ヴェルディはこの試合で優勝の可能性があった首位の鹿島アントラーズと対戦。今季リーグワーストの22得点と苦しむ攻撃陣はこの日も沈黙し、0-1で敗戦を喫した。キャプテンの森田晃樹は、この試合を振り返りつつ、今季のチームの課題を口にしている。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]
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「これがすべてだと思います」

【写真:Getty Images】
東京ヴェルディはホーム最終戦で、リーグ優勝がかかる鹿島アントラーズに挑んだ。
結果は0-1の敗戦。城福浩監督は「1つ言えるのは、相手のミスを得点につなげるクオリティーがある鹿島さんと、やれることをやっていまの自分たちの力をすべて出して0-1で負けるヴェルディ。これがすべてだと思います」と言い切った。
立ち上がりに圧をかけたのは鹿島だった。4-4-2の両サイドハーフに鈴木優磨とエウベルを据え、鋭いサイド攻撃で押し込んでくる。
だが、鹿島の鋭い攻撃を防ぎながら、次第にホームのヴェルディがリズムを生んでいく。
右から攻め上がる宮原和也のクロスにFWの染野唯月がダイビングヘッド。さらに右シャドーの松橋優安の折り返しから再び染野が狙い、ボランチの平川怜が強烈なミドルを放つ。
松橋がフェイントで揺さぶって放ったシュートは日本代表GKの早川友基に阻まれた。
その後も鹿島を押し込み、ボランチから最終ラインまで、狙いどおりに揺さぶれるシーンや時間帯が何度もあった。
「そこを自由にやらせないというところを…」
中盤の司令塔的な存在でもある、キャプテンの森田晃樹は「まず、やっぱり鈴木優磨選手が攻撃のキーマンになるので、そこを自由にやらせないというところをやりながら、ボランチや(齋藤)功佑が上手くボールに絡んで、ラインブレイクできたというのはよかったと思います」と振り返る。
シーズンの得点数と失点数のバランスを見ると、良くも悪くも守備的なイメージが付いてしまうのは仕方がない。
しかし、実際に試合を観れば、ボールを動かし、相手陣に押し込み、ライン間を攻略してシュートまで持ち込む、ヴェルディの姿が目の前にある。その攻撃にも狙いがあり、そこから鹿島を上回る局面も確実にあった。
ただ、その思い描いた絵をゴールに完結できない。分かってはいても簡単に解決できない現実だ。
後半には再び鹿島がギアを上げてくる。特に途中交代で左サイドに入った松村優太が、彼の古巣でもあるヴェルディのディフェンスを脅かしてきた。
それでもボランチやバックラインの粘り強い対応で堰き止めていたが、74分、パスミスを拾った荒木遼太郎のスルーパスから生まれた一連の攻撃を、GKマテウスが一度は止めたものの、こぼれ球を松村に押し込まれた。
内容を整えながらも、勝負の一点は鹿島に転がった。
「今年のヴェルディを表してるとまではいかないですけど…」
「それが差かなと思います。鹿島さんはしっかり、こういうゲーム内容でも…だいぶ、こちらのミスがあったにせよ、ああいうところで点が決まって、守り切るというところの勝負強さが、鹿島さんの今の順位を表してるのかなと思います。
ああいうミスで失点して負けるというのが、今年のヴェルディを表してるとまではいかないですけど、順位を表してるのかなと思います」と森田。そこで何が両者を分けたかを言葉にした。
城福監督のもとで、J2から積み上げてきた守備の自信はそのままに、攻撃の構築にも向き合っている。
森田は「毎試合、割と大きなチャンスが作れてます。ただ、それをもっと増やすという意味ではもう少し、ゴール前のアイデアとかが必要ですし、どれだけゴール前に染野(唯月)とか、ゴール決められる選手をゴールの近くに居させることができるかがすごく大事だと思う」と課題を口にした。
チームの課題に加えて、森田自身としても「さらに自分がボールを受けて蹴る回数、ボールに関わる回数を増やして、チームの中心になってやっていくことが必要ですし、そこからゴールに関わる」というテーマに向き合っている。