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「現実的にどうかって言われた時に…」森田晃樹が考える東京ヴェルディの未来。「ここから積み上げなきゃいけないもの」とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 photo by Getty Images

 明治安田J1リーグ第37節、東京ヴェルディはこの試合で優勝の可能性があった首位の鹿島アントラーズと対戦。今季リーグワーストの22得点と苦しむ攻撃陣はこの日も沈黙し、0-1で敗戦を喫した。キャプテンの森田晃樹は、この試合を振り返りつつ、今季のチームの課題を口にしている。(取材・文:河治良幸)[2/2ページ]
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現在のヴェルディに潜む根本的な問題

 中盤の守備から攻撃に関わる存在感から考えれば、ここまで無得点3アシストという結果は物足りなさがあるのも確かだ。ただ、森田自身の成長で変えられるものと変えられないものがある。

 中盤の戦いを見ても、この日のヴェルディは三竿健斗や知念慶を擁する鹿島に対しても引けを取っていなかった。森田の相棒である平川やシャドーから中盤に関わる齋藤、松橋と共に、局面的には鹿島を上回るシーンも作れていたのだ。

 しかし、サッカーは中盤の優勢度を競うスポーツではない。そこからいかに得点に結びつけるか。その観点で、結局はやらせない鹿島を打ち破ることはできなかった。

 もちろん、さらにゴール前の攻撃人数を増やして、ボランチやシャドーがボックスの危険なところに顔を出していくなど、現在のメンバーで改善できる要素はあるが、ベンチを含めた鹿島の陣容を見れば、それだけでは解決できない本質的な問題があることも確かだ。

 昨シーズンは16年ぶりのJ1で躍進し、ヴェルディは6位でフィニッシュした。当然、2年目の今シーズンはそれ以上の成績を期待する声もあり、クラブとしても高い目標を掲げていた中で、森田は開幕前のキャンプの時期から「まずはJ1残留」と強調していた。

「ここから積み上げなきゃいけないものは…」

「そこは高い目標を持ちながら、現実的には今の戦力だったりチーム状況で考えると、残留というのは一番大事になってくるかなというのは1年間を通して思っているので。そこに対して選手もそうですし、本当に、現場のスタッフだったりが考えて1年間やってきたかなと。その結果が残留につながっていると思います」

 長いJ2時代を経て、念願のJ1昇格を果たしたのが2年前。城福監督が熱心に若いチームを指導して、ベースを引き上げているが、監督や選手が現場で改善していけるものがある一方で、クラブとして成長していくべきところもある。

 それは鹿島戦の結果だけで語るべきものではないが、おそらくシーズンを通してヴェルディに関わる多くの人が感じていることだろう。

「言って、まだ2年なので。ここから積み上げなきゃいけないものはたくさんあって。僕がいる間に、そういうリーグ優勝とか、カップ戦に優勝できたらいいですけど。

 今の現状ではなかなか・・・そこを目標にはしてますけど、現実的にどうかって言われた時に、まだまだレベルを上げていく必要があるというか。チームとしてもクラブとしてもあるなと僕は感じている」

 2年続けて残留という1つの達成感とリーグ優勝はもちろん、カップ戦のタイトルにも手が届いていない現実にどう向き合いながら、ヴェルディというクラブが進んでいくのか。

 そこで森田がどういった役割を果たして行くのか。ホーム最終戦で、リーグ優勝がかかる相手との勝負を通して、選手としてもクラブとしても、色々なものが見える機会になったはずだ。

(取材・文:河治良幸)

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