今季の明治安田J1リーグにおいて最大のサプライズは、横浜F・マリノスの低迷だった。シーズン中盤まで降格圏を彷徨った同クラブは、夏に大型補強を敢行。それが功を奏し、終盤に怒涛の追い上げを見せて、最終的にJ1残留を果たした。今回は、紆余曲折あったマリノスにおいて、輝きを放った新戦力をランキング形式で紹介する。[2/5ページ]
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4位:遠野大弥(とおの・だいや)

【写真:Getty Images】
生年月日:1999年3月14日
今季のリーグ戦成績:21試合5ゴール1アシスト
横浜F・マリノスの序盤戦は絶望に満ちていた。そんな暗闇の中でも、遠野大弥は新加入選手として圧巻のプレーを見せていたといえるはずだ。
藤枝明誠高校からJFLのHonda FCへと加入した遠野は、実業団クラブで研鑽を積み、加入3年目の2019年にレギュラーに定着。リーグ4連覇や天皇杯での躍進に大きく貢献し、2020年には川崎フロンターレへの異例のステップアップを果たした。
晴れてJリーガーとなった同選手は、プロ初年度の2020年にアビスパ福岡へレンタル移籍で加入。
リーグ戦11ゴールの活躍でクラブのJ1昇格に貢献すると、翌シーズンから川崎の一員として復帰し、様々なポジションでスーパーサブとして起用されてきた。
昨季もリーグ戦35試合に出場したが、さらなる出場機会を求め、今季にマリノスへの移籍を決断している。
強い思いでトリコロールのシャツに身を包んだ遠野だったが、その船出は最悪だった。クラブは勝ち点すら奪えない時期が続き、降格圏を彷徨い続けていた。
その中でも、同選手は自分の役割を全うした。火力不足感が否めない攻撃陣を引っ張り、前半戦だけでリーグ戦5ゴールを記録している。
遠野はセンスに溢れた選手である。
オフザボールに優れ、効果的な場所にポジション取りしていることが多いため、こぼれ球をそのまま二次攻撃、三次攻撃に繋げられる。守備にも奔走し、常にハードワークすることができる。
個人としての能力も抜群で、低身長ではあるものの、それを活かした重心の低いドリブルも彼の大きな魅力だ。
ドリブルで敵陣深くまで侵入すると、右足左足問わず、思い切りのいいシュートで得点へとつなげる。特にミドルレンジは彼のゾーンであり、相手に脅威を与え続ける。
前半戦わずか3勝に終わったマリノスだが、遠野はうち2試合で得点を記録し、貴重な勝ち点獲得に大きく貢献した。
現在は右アキレスけん断裂の大けがによって戦線を離脱しているものの、この孤軍奮闘を忘れることはできない。