今季の明治安田J1リーグにおいて最大のサプライズは、横浜F・マリノスの低迷だった。シーズン中盤まで降格圏を彷徨った同クラブは、夏に大型補強を敢行。それが功を奏し、終盤に怒涛の追い上げを見せて、最終的にJ1残留を果たした。今回は、紆余曲折あったマリノスにおいて、輝きを放った新戦力をランキング形式で紹介する。[4/5ページ]
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2位:谷村海那(たにむら・かいな)

【写真:Getty Images】
生年月日:1998年3月5日
今季のリーグ戦成績:14試合6ゴール0アシスト
低迷する名門に突如現れた救世主は、JFLから這い上がってきたストライカーだった。
国士舘大学を卒業した谷村海那は、Jリーグのクラブに加入することが出来ず、2020年に当時JFLに所属していたいわきFCの一員に。同選手の当時のポジションはFWではなくボランチだった。
加入後すぐ前線へと戦いの場を移すと、2年目の2021シーズンにはリーグ戦5ゴールの活躍でクラブのJ3昇格に貢献。翌年もJ2昇格の輪に加わり、みちのくのクラブが成長する過程を肌で感じてきた。
そんな同選手がレギュラーとして起用され始めたのは、J2初年度となった2023シーズンから。
肉体改造に取り組んだことでDFに競り負けない強さを手に入れ、昨季は同18ゴールと爆発した。ベストイレブンを受賞するなど、飛躍の1年となっている。
勢いそのままに、今季も順調に得点を積み重ねていた中で、谷村は夏に横浜F・マリノスへの移籍を決断する。
5年半を過ごしたクラブを離れることは苦渋の決断だったはずだが、この覚悟の移籍がマリノスを救うこととなる。
谷村は移籍後初出場となった名古屋グランパス戦でいきなり得点を挙げアピールに成功すると、その後もスコアラーとして活躍した。
生粋のストライカーらしく強引にゴールを狙い、チャンスの場面でも恐ろしいほどに落ち着いてプレーする。いわき仕込みのフィジカルは屈強なDFをものともせず、ゴール前で必ず仕事をしてくれる選手だ。
特に、ボールをダイレクトで合わせる技術は絶品であり、クロスを必ず枠内に収める。
そのため、ジョルディ・クルークスからの精度の高いキックと谷村の決定力は、まさに鬼に金棒状態で、このホットラインは今後も他クラブにとって大きな脅威となるだろう。