今季の明治安田J1リーグにおいて最大のサプライズは、横浜F・マリノスの低迷だった。シーズン中盤まで降格圏を彷徨った同クラブは、夏に大型補強を敢行。それが功を奏し、終盤に怒涛の追い上げを見せて、最終的にJ1残留を果たした。今回は、紆余曲折あったマリノスにおいて、輝きを放った新戦力をランキング形式で紹介する。[5/5ページ]
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1位:ジョルディ・クルークス

【写真:Getty Images】
生年月日:1994年1月15日
今季のリーグ戦成績:11試合2ゴール5アシスト
ジョルディ・クルークスは、その左足で横浜F・マリノスを救った。
ベルギーのヘンク下部組織出身の同選手は、若手時代に世代別代表に招集されるなど、早くから輝かしい未来を嘱望される存在だった。
そのままヘンクからプロキャリアをスタートさせ、その後はオランダ1部と2部を行き来し、2021年にアビスパ福岡へと加入。これがJリーグ初挑戦だった。
福岡では主に右サイドハーフのポジションで起用され、すぐさま日本のサッカーに適応した。
2年目の2022シーズンはリーグ戦31試合に出場し、正確なキックを活かしたチャンスメイカーとして4ゴール4アシストの活躍を見せている。
ただ、翌シーズンに移籍したセレッソ大阪では、2024シーズンに加入したルーカス・フェルナンデスとのポジション争いに敗れ、出場機会が激減。シーズン中に状況を改善すべく、ジュビロ磐田へと加入している。
クルークスにとって、この移籍は大きな転機となった。
磐田がJ2に降格した今季、同選手は右サイドで攻撃を支配し、同26試合3ゴール9アシストを記録。シーズンの3分の2のみの出場にもかかわらず、J2のアシスト王に輝いており、まさに無双状態だったことが分かる。
この活躍を見逃さなかったのがマリノスである。
同クラブは今季、史上最悪ともいえる低迷に陥り、夏にはアンデルソン・ロペスやヤン・マテウスという強烈な個を持つ外国人選手が退団。彼らに代わる助っ人として、クルークスに求められた役割は明確だった。
そして、クルークスはこの役割を完璧に果たす。
右サイドから繰り出される左足のキックは、まったく同じフォームで異なる弾道を繰り出すことができ、攻撃に明確な違いを生み出している。
右足の精度も劣ることなく、相手に脅威を与え続けた。
また、クルークスと同時期に加入した谷村海那とディーン・デイヴィットの存在も追い風となった。
ボックス内での競り合いに長ける両選手とクルークスの高精度クロスは相乗効果を生み、加入後の11試合で5アシストを記録している。
マリノスがこの選手を手放さなければ、来季は必ずJ1の優勝候補にも挙がってくるはずだ。
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