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「また会える日を楽しみに。アリガトウ」ファン・アラーノがどん底に沈むガンバ大阪に来て3年半、「できることはやり切った」【コラム】

シリーズ:コラム text by 高村美砂 photo by Getty Images
胴上げされるガンバ大阪MFファン・アラーノ
ガンバ大阪MFファン・アラーノ【写真:Getty Images】



 ガンバ大阪は5日、ファン・アラーノの契約満了を発表した。2022年途中に加入し、3年半でリーグ戦86試合に出場。外国籍選手ながら昨季から副キャプテンを担うなど、チームに多大な影響を与えたブラジル人MFは「チームのためにできることはやり切った」と言い、感謝の気持ちと誇りを胸にガンバを去る。(取材・文:高村美砂)[2/2ページ]
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充実感に溢れたガンバ大阪での3年半

湘南ベルマーレ戦前のガンバ大阪MFファン・アラーノ
ガンバ大阪MFファン・アラーノ【写真:Getty Images】

 もちろん、ひとたびピッチに立てば、その運動量と攻撃力は敵チームの脅威になった。今シーズンの後半戦は、途中からピッチに立つことが増えたものの、出場のたびに攻撃のギアを上げ、試合の流れを変えながらゴールやアシストといった爪痕を残してきたのも印象的だ。

 10月に入ってからは再びケガで離脱となってしまい、ピッチに立つことはできなかったが、まさに「自分のベストを尽くし、チームのためにできることはやり切った」という言葉に相応しい3年半だった。

「僕が初めてガンバに加入したとき、お世辞にもいいチーム状況とはいえませんでした。クラブにとっても一番どん底に沈んでいたといっても過言ではなかったと思います。

 ただ、その時も含めて、チームの力になるためにベストを尽くしてきたことに嘘はなく、その姿を最後まで示せた自分に誇りを持ってガンバを後にしようと思います。去年、今年と、副キャプテンを任せていただいたことも、僕にとってはとても誇らしく、新たな経験になりましたし、すごくいい思い出になりました。


 それを含めて、ガンバでの3年半は、とても充実した時間を過ごせていたからこそ寂しさはありますが、プロサッカー選手である以上、自分の進むべき道を自分で選択できることばかりではなく、こうした別れも起こりうることだと思っています。

 だからこそ、皆さんの愛情に心からの感謝と、ガンバというクラブへの大きなリスペクトを持って、また、すべてのサポーターの皆さんに対する敬意と称賛の気持ちと共にここを離れます。また会える日を楽しみに。アリガトウ」

 今後のキャリアについては、まだ何も決まっていない。

「日本でプレーしたいという気持ちはあります。僕を必要としてくれるクラブがあれば嬉しい」

 ただし、どの道を選ぼうとも「誠実に今と向き合いながらキャリアを歩んでいく」ことだけは確かだという。プロサッカー選手として大事にしてきたスピリット「勝つために」、自分のすべてを注いで。

(取材・文:高村美砂)

【著者プロフィール:高村美砂】
雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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【了】
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