2025明治安田J1リーグ最終節、浦和レッズ対川崎フロンターレが6日に行われ、4-0でホームチームが勝利した。フロンターレにとって何かが懸かっていた試合ではなかったが、それでもMF大関友翔は悔しさのあまり、すぐに顔を上げることができなかった。サッカー日本代表にも選出された2025年は、彼にとって喜びよりも、悔しさや課題を感じることが多い1年になった。(取材・文:菊地正典)[2/2ページ]
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「タイトルを獲れるチームに戻っていくしかない」
「1年間戦ってきてタイトルもない中、埼玉まで最終節に来てくれたサポーターの皆さんに本当に申し訳ないですし、不甲斐ない試合をしたので、今シーズンが終わって心残りではあります」
だからこそ、来年の成長と活躍を強く決意する。
「また信頼を取り返すためには、タイトルを獲れるチームに戻っていくしかないと思います。今日感じたことを自分が表現できるようにやっていきたいです。2年前と違ってたくさん試合には絡めましたが、スタートから出た試合は少なかったですし、まだまだ足りないと感じる部分も多かったです。
来年はそういったところをしっかりと整理してキャンプに入りたいですし、スタートダッシュできるようにしたいです」
今シーズンはU-20代表、A代表の招集が続き、何度も海外遠征に参加した。シーズン終盤は疲労のツケが回ってきたようにも見えたが、大関はコンディション調整の難しさを感じながらも言い訳にしようとはしない。
むしろ、代表選手の宿命と捉え、受け入れながら成長しなければならないと考えている。
足りないことを整理し、言語化するにはもう少し時間が必要だ。それでも、スタメン出場した試合はもちろん、途中出場の少ない時間でもゴール、アシストと目に見えた結果が必要であることは明確にわかっている。
「反骨心でここからよくなっていく選手が数名いたら、私としては今日の試合を意義あるものに、一つのポイントにしていきたい」
長谷部監督はそう話したが、大関が反骨心でここからよくなっていこうとしているのは言動から十分に伝わった。
来シーズンはさらなる成長を遂げ、アカデミー時代に憧れたようなタイトルを獲るチームの中心として活躍する。自らの活躍でチームにタイトルをもたらす。そして1年を終えたとき、自分がやってきたことに胸を張る。
「頑張ります」
言葉自体は極めてありきたりだ。表情は晴れない。それでも、最後にそう発したときの大関の口調には、力強さが戻っていた。
(取材・文:菊地正典)
【著者プロフィール:菊地正典】
福島県出身。埼玉大学卒業後、当時、日本最大級だったサッカーモバイルサイトの編集・ライターを経て、フリーランスに。主にサッカー専門新聞『EL GOLAZO』の記者として活動し、横浜FC、浦和レッズ、ジェフユナイテッド市原・千葉、横浜F・マリノス、川崎フロンターレの担当記者を歴任。著書に『浦和レッズ変革の四年 〜サッカー新聞エルゴラッソ浦和番記者が見たミシャレッズの1442日〜』(スクワッド)、『トリコロール新時代』(スクワッド、三栄書房)がある。Xのユーザー名は@masanorikikuchi
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