鹿島アントラーズのリーグ優勝に貢献した選手たちにフォーカスを当て、今季の取材で得た選手や関係者の証言から振り返るコラムを連載中。第5回は、横浜F・マリノスを契約満了になり、鹿島に加入した小池龍太を取り上げる。複数のポジションをこなしながら、新たな常勝軍団の基準を小池は作っていた。(取材・文:加藤健一)[2/2ページ]
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小池龍太は鹿島アントラーズの基準になっていた
この試合で決勝ゴールを決めたのは、途中出場の松村だった。この試合以降、試合終盤に決勝点が生まれる試合が多くなったが、そのほとんどが途中出場の選手たちが決めている。
「途中で入ってきた選手の理解度だったり、自分たちのメンタリティだったり。いろんなバリエーションを見せないといけない。そして、どんな相手でもそれができないといけないというところは突き詰めていかないといけない」
今季初勝利を挙げた第2節のヴェルディ戦後に小池はこう言っていた。チームとしての積み上げが、確実にチームの力になっている証だった。
当初、新天地で任された最初の役割は、馴染み深い右サイドバックだった。だが、右サイドバックから右MFへ、状況によってはボランチや左MFに入る時間もあった。シーズン終盤には左サイドバックも務めている。
怪我人が出れば、システムが変われば、そのたびに仕事場が変わった。小池はチームの頭脳でもあり、心臓でもあり、血管でもあった。ピッチの隅から隅まで、あらゆるポジションでチームをつなぐ存在になっていた。
今年鹿島に加入したばかりだが、小池はいつしか鹿島の基準になっていた。もちろん、チームの顔は鈴木優磨であり、柴崎岳であり、植田直通だが、小池がチームの進むべき方向を指していたように見える。
小池という羅針盤が差す方向へ進めば、勝利に近づくことができる。戦う空気、プレスの基準、そして味方と繋がる基準。繊細に変わり続ける戦況を冷静に見ながら、そのときの最適解が、小池なりに答えを出し続けた1年だった。
(取材・文:加藤健一)
著者プロフィール:加藤健一
1993年生まれ、東京都出身。『フットボール批評』、『ジュニアサッカーを応援しよう!』(ともにカンゼン刊)の編集を経て、フットボールチャンネル編集部に。『育成主義』(曺貴裁著)、『素直 石川直宏』(馬場康平著)などの書籍編集を担当。箸とペンは左利きだが、スポーツはだいたい右利き。2022年1月から約2年はフットボールチャンネル編集長を務め、現在はJリーグやサッカー日本代表を取材。Twitter:@katoken97
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