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J1 2か月前

鹿島アントラーズについて改めて考える。一番の成長株は植田直通。鈴木優磨の最適化とレオ・セアラの孤立を防ぐ策【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images



 2025シーズンの明治安田J1リーグは、鹿島アントラーズの9季ぶりとなる優勝で幕を閉じた。鬼木達監督が指揮を執る今季の鹿島はどんなチームだったのか。昨季からの変化にも触れながら、『森保JAPAN戦術レポート』の著者でもあるらいかーると氏がその戦いを振り返っていく。(文:らいかーると)[2/2ページ]
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終盤戦に出した結論。レオ・セアラの孤立を防ぐために…

鹿島アントラーズのレオ・セアラ
鹿島アントラーズFWレオ・セアラ【写真:Getty Images】

 エウベルの補強によって、レオ・セアラ、エウベル、チャヴリッチ、鈴木の4トップの見栄えは豪華ですが、昨年の補完性と比較すると、少し遠いものになってしまっています。それでも個々の選手がばらばらでも戦えることで、試合を成り立たせていたことは印象に残っていますが。

 鈴木はどこかへ移動していってしまうならば、最も補完しやすい場所を鈴木のスタートポジションにすればいいと考えたのでしょう。終盤ではまたもサイドハーフに配置されることとなりました。

 小川と小池のサポートを受けて自由に動き回る鈴木と、田川亨介の登用という結論を終盤戦に出し、レオ・セアラの孤立という問題の解決を狙いました。


 サッカーの本質はゴールを守り、ゴールを奪うことと言われています。今季の鹿島はゴールを守り、ゴールを奪う部分において理不尽ともいえる結果を残しました。鈴木の代わりにストライカー専任として期待されたレオ・セアラは見事に20ゴール以上を達成しました。特に柏レイソル戦で見せたロングシュートは理不尽の一言です。

 最も理不尽なプレーを連発していた選手は早川友基でした。ゴールキーパーの早川友基は相手の決定機を止めまくることで、試合を壊すことに成功しています。

 試合にはストーリーや文脈が存在します。この流れだと鹿島は失点しそうだなという流れをぶった切るのが早川友基であり、この流れで鹿島はどのように得点を取るのだろうという疑問を破壊するのがレオ・セアラでした。

未完成の鹿島アントラーズは来季、どのような完成への道筋を見せるのか

左から柴崎岳、樋口雄太、下田栄祐、知念慶、三竿健斗、舩橋佑。鹿島アントラーズボランチ陣
鹿島アントラーズのボランチ陣【写真:Getty Images】

 もちろん、他の選手も理不尽を発揮しています。知念、三竿、植田、キム・テヒョンの4人はハイボールで抜群の強さを見せつけました。Jリーグのトレンドであるロングボールによる速攻やカウンターを跳ね返し続ける4人がスタメンに並ぶことは相手からすれば最悪のかみ合わせとなったでしょう。

 早川を含めた守備陣は、相手に組織を破壊されても最後の局面で耐え続けることで、試合を壊すことなく、鹿島に良い結果をもたらすことに繋がってきました。

 現代サッカーは全局面に対応する道を選ぶか、自分たちの尖りにいかに相手を巻き込むかが重要になってきています。Jリーグでは後者が流行になってきていますが、鹿島はそういったものに興味を示していないように見えます。


 目の前の試合に勝つための微調整と、個々の選手が孤立していてもなんとかする、攻守においてゴール前でチームの勝利に貢献することで結果を持ってくる今季の鹿島は、サッカーの本質とは何かを我々に問いかけるよう優勝となりましたとさ。

 恐らくだが、試合内容に鬼木監督は納得していないでしょう。今季の鹿島は負けてもおかしくない試合を、攻守におけるゴール前の選手たちのクオリティでどうにかしてきた試合が多かったです。

 攻守における成功体験が彼らを繋ぎ止める。言葉にすると陳腐になりますが、最後まで諦めない姿勢がアディショナルタイムでのゴールたちに繋がったのではないでしょうか。

 また、昨年の優勝チャンスを迎えたときのFC町田ゼルビアの補強を彷彿とさせるような鹿島の補強も見事でした。関川郁万の代わり以上の仕事をしたキム・テヒョン、ポリバレント性でチームを支えた小池龍太、怪我人が出ると、小川諒也、エウベル、千田海人を補強し、一致団結して優勝を目指した姿は立派でした。

 未完成の印象の強い鹿島が来季にどのような完成への道筋を見せるのか、楽しみにしておきたい。

(文:らいかーると)

著者プロフィール:らいかーると
1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。

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【了】
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