2025明治安田J1リーグを制し、国内最多の21冠目の栄光を手に入れた鹿島アントラーズ。“常勝軍団”の歴史は一朝一夕では成立せず、リーグ初優勝を果たした1995年から現在まで、様々なレジェンドが活躍してきた。サッカーのスタイルが変遷する中で、今こそ鬼木達監督のチームで見たい選手がいる。今回は、鹿島に在籍したことのある選手の中で、現在ならばより実力を発揮できそうな選手をランキング形式で紹介する。※データは『Transfermarkt』を参照[3/5ページ]
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3位:西大伍(にし・だいご)
生年月日:1987年8月28日
在籍期間:2011年2月~2019年1月
通算成績:309試合15得点31アシスト
2025シーズン限りで現役引退を決断した西大伍。コンサドーレ札幌(現:北海道コンサドーレ札幌)でプロキャリアをスタートさせた同選手は、鹿島アントラーズでも8年にわたってプレーした。
とにかくサッカーの技術に優れた選手だった。
それはドリブルやパス、シュートといったオンザボールのテクニックに限らず、ポジショニングや状況判断といったオフザボールの動きも含んでいる。
2011シーズンに鹿島に移籍すると、直後からリーグ戦30試合に出場した。以降も右サイドバックを主戦場としながら、試合展開によって中盤にポジションを移すなど、独特な動きでチームに貢献する。
プロ入り前はFWやボランチとしてプレーしていたこともあり、ゲームメイクへ果敢に関与できる自信もあったのだろう。
2012シーズン以降は得点への直接関与も増え、2018シーズンは23試合で3ゴール5アシストと、さながらウインガーのような成績を残した。
そんな彼の特長が広く認知されたのが、やはりFIFAクラブワールドカップ2016・決勝だろう。
欧州王者レアル・マドリードとのビッグマッチは、延長戦までもつれた末に2-4で敗北したが、2得点の柴崎岳をはじめ、鹿島の選手も大きな爪痕を残した。
そのひとりが西である。右サイドバックの位置からパスを散らし、冷静なトラップで落ち着きをもたらし、時には中盤まで上がって攻守のバランスを取った。
支配率で劣り、シュート本数でも相手が上回ったが、要所で落ち着けたのは背番号「22」の影響が大きい。ボールの出しどころに困ったときは、ひとまず西に出せばどうにかしてくれる。そういった安心感さえあった。
鬼木達監督率いる鹿島も、これまで同様にインテンシティの高さが求められるが、それと同時に攻め手の数も増えたように見える。
最終ラインからのビルドアップも重要な攻撃手段だ。
8年間で十分な貢献を果たした選手だが、まさに“今こそ見たい”と思わせてくれるタレントである。

