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J1 2週間前

「どの選択が正解なのか…」森田晃樹が「すごく短い時間」で東京ヴェルディ残留を決断した理由とは。「それはやはり僕にとって…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie

東京ヴェルディ、森田晃樹
新シーズンに向けて始動した東京ヴェルディの森田晃樹【写真:藤江直人】



 東京ヴェルディは6日、新シーズンに向けて始動した。今オフ、去就に大きな注目が集まった森田晃樹は、複数の要素が交錯するなかでヴェルディ残留という決断を下した。慣れ親しんだ緑のユニフォーム、そして重みある10番。新たなシーズンへ歩み出す司令塔が語る、残留に込めた真意とは。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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仲間との対戦へ「勝っておちょくりたい」

谷口栄斗
川崎フロンターレに移籍した谷口栄斗【写真:編集部】

 17位でJ1残留を果たした昨シーズン中には、木村だけでなく千田海人(鹿島アントラーズ)、翁長聖(V・ファーレン長崎)、そして綱島悠斗(ロイヤル・アントワープ)がヴェルディを去って行った。

 森田が残留を決めたこのオフも、副キャプテンとして自身を支えてくれたひとつ年上の谷口栄斗が川崎フロンターレへ移籍した。

 見送る側であり続けた森田は、別れが訪れるたびに同じ思いを抱いてきた。

「その選手によってキャリアのなかで何を大事にするのか、というのは大きく変わってくる。それぞれの目標から逆算しての決断を僕は尊重したいと思いますし、それが正解になってほしいと祈っています」



 海外組の綱島以外とは、同じJ1の舞台で戦える百年構想リーグと2026/27シーズンへ。特にヴェルディの司令塔と川崎の最終ラインとで、直接対峙する可能性が待つ谷口との再会を森田は特に心待ちにする。

「非常に楽しみにしているというか、勝って(谷口を)おちょくりたいですね」

 かつての仲間たちへ寄せてきた思いと同じく、さらに成長した自分自身の姿から逆算した結論として森田はヴェルディ残留を決めた。

 自分には「緑色の血が流れている」と冗談まじりに笑うバンディエラが、オフに残留を決めるたびに「最高の補強だ」と繰り返してきた城福監督が思わず目を細める。

「僕たち指導者に何ができるかというと…」

東京ヴェルディ、森田晃樹
ランニングをする東京ヴェルディの森田晃樹【写真:藤江直人】

「まさにここから何年間かのピークパフォーマンスを迎えるときに、どのチームに身を置くのかはまさに個人の価値観です。そのなかで、じゃあ僕たち指導者に何ができるかというと日常のアプローチしかない。

 いざ移籍するときに、ちょっと飯を食いに行こうかと誘っても何の役にも立たない。このチームにいるのがどれだけプラスになるのか。それを選手が感じてくれるかどうか。まさに日々の勝負だと思っています」

 森田が残留を決めた理由のひとつに自身の続投がある、と聞かされた指揮官がうれしそうに語る。そして8月に26歳になる森田自身が、新たな背番号を自分の色に染めていく過程を誰よりも楽しみにしている。



「10番を背負う責任が新たに増えるなかで、それをしっかりと果たせる選手になりたい。背番号に恥じないプレーでみなさんを楽しませたいし、今年は1点でも多く決めてチームの勝利に貢献したい」

 昨シーズンを無得点で終えた森田が、公式戦で最後に決めたゴールは2024年9月28日までさかのぼる。

 敵地で行われたJ1リーグ第32節の後半アディショナルタイムに同点弾を叩き込んだ相手は、くしくも今オフにオファーを出したガンバ。森田とヴェルディの10番を紡ぐ物語は、1年半前からすでに始まっている。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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【了】

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