
新シーズンに向けて始動したFC町田ゼルビアのバスケス・バイロン【写真:藤江直人】
FC町田ゼルビアは7日、新シーズンに向けて始動した。昨年夏、栃木シティFCへ期限付き移籍したバスケス・バイロンは、今オフ再び町田への復帰を果たした。カテゴリーを下げてでも出場機会を求めた時間は、立場の厳しさと真正面から向き合う日々でもあった。生き残りを懸け、再び厳しい競争へ身を投じる覚悟とは。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
——————————
「自分のよさはやはり…」

練習に励むFC町田ゼルビアのバスケス・バイロン【写真:藤江直人】
「もちろんリーグ全体の強度なども落ちますけど、そのなかで非常にオフェンシブなサッカーを標榜し続けたチームで、自分のよさはやはり攻撃にあると再び自信をもてたのが一番大きかったですね」
栃木で取り戻した自信をJ1仕様にするために、オフの期間に肉体改造にも着手した。
「僕は下半身がちょっと弱いので。ここ(町田)で生き残っていくには、体をもうひと回り厚くしなきゃいけないと考えました。走りの部分も含めて、ひたすら鍛えて頑張るしかない、という感じでしたね」
具体的には以前から契約を結んでいながら、栃木時代は疎遠となっていたパーソナルトレーナーに再び師事。スプリントを強化するメニューを多めに組んでもらい、昨年12月下旬から徹底的に取り組んできた。
「今シーズンは何がなんでも(百年構想リーグの)試合に絡んで、自分の存在価値を証明していかなきゃいけない。そのためには目の前の日々をただただ過ごしていくよりも、という思いでした。
そうして自分のよさを出せれば、町田でも必ず出場できると思っている。黒田監督やコーチングスタッフ、チームメイト、ファン・サポーターのみなさんからも認めてもらえるように頑張りたい」
肉体改造を本格化させる前に、気持ちをリセットする意味合いも込めてヨーロッパへ一人旅に出た。
そしてフランスのパリで、家族とともに旅行に来ていた昌子源や岡村大八と合流。ディズニーランド・パリなどを堪能しながら、町田への生き残りをかける戦いへ向けて鋭気を養った。
「ありがたいことに何のハプニングもなく、ただただ源くん(昌子)の通訳を務めていました」
思わず苦笑したバイロンは、期限付き移籍から復帰すると告げた昌子から檄を飛ばされたと感謝する。
「戻ってくるのなら、普通に試合に出るとかじゃなくて…」

ランニングをするFC町田ゼルビアのバスケス・バイロン【写真:藤江直人】
「源くんからは『戻ってくるのなら、普通に試合に出るとかじゃなくて、先発で出るつもりで死ぬ気でやれ。そうじゃないと帰ってくる意味がない』と言ってくれたので」
黒田監督も「競争もあるし、そんなに甘くない」と特別扱いはしない方針をバイロンに告げた。
「オフの間に彼とちょっと話をしましたけど、意気込みやJ1で挑戦したい、という強い気持ちが感じられた。いろいろな選手を試し、使っていくなかでどのようにチームへフィットしていくのか。
これからキャンプを通じていろいろと見ていきたいと思っていますけど、いろいろと模索するというか、選手たちを観察する時間というのは、今シーズンは増えるんじゃないか、と」
秋春制への移行とともに8月に新シーズンが開幕するなかで、特別大会として2月に開幕する百年構想リーグは昇降格がない。さまざまなチャレンジができる環境が、バイロンには追い風となるかもしれない。
加えて毎オフのように大型補強を行ってきた町田は、一転してこのオフの新加入選手に関しては現時点で、全国高校サッカー選手権大会で優勝した神村学園のFW徳村楓大だけにとどまっている。
さらに韓国代表FWオ・セフンが清水エスパルスへ期限付き移籍し、オーストラリア代表FWミッチェル・デュークがマッカーサーFCへ完全移籍した状況を踏まえて、バイロンは次のように語っている。
「新加入選手もいまのところ少ないですし、外国人選手枠に関してもギリギリで収まっている状況なので、もうチャンスしかないと思っています。ACLエリートもあるので、とにかく頑張っていきたい」
百年構想リーグ終盤の5月には26歳になる。若手とは呼べない年齢でJ1の舞台に爪痕を残し、生き残っていくために。肉体改造を含めて、バイロンはさまざまなチャレンジを自らに課していく。
(取材・文:藤江直人)
【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
Jリーグ移籍情報2026 全60クラブ 最新補強一覧
とにかく遠い…。Jリーグ、最寄り駅から離れすぎなスタジアムランキング1~5位
もうパンパン! Jリーグ収容率ランキング1~5位【2025年決定版】
【了】