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J1 1週間前

【英国人の視点】J1リーグの補強を占う。戦力ダウンの4クラブ、積極的に動いた2つのビッグクラブ。V・ファーレン長崎の動きは…

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images,Editor
V・ファーレン長崎

8年ぶりにJ1昇格を果たしたV・ファーレン長崎【写真:Getty Images】



 明治安田百年構想リーグは2月6日に開幕する。秋春制への以降に伴う特別シーズンに向けて、J1・20クラブはどのような動きを見せたのか。Jリーグやサッカー日本代表を取材する英国人ジャーナリストが、各クラブの戦力補強を評価する。(文:ショーン・キャロル)[1/2ページ]

慎重な移籍市場の動き

鹿島アントラーズ

9年ぶりの王座奪還となった鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】

 鹿島アントラーズが待望の9度目のJ1優勝を祝し、ジェフユナイテッド千葉がJ1復帰を決めたのは、つい昨日のことのように感じられる。だが、今年は明治安田百年構想リーグ、FIFAワールドカップ26、そして2026/27シーズンのJリーグ開幕と多くのイベントが控えている。

 各クラブのプレシーズンの準備はすでに始まっており、開幕節まではわずか3週間となっている。

 2月6日のキックオフまでには、まだ多少の移籍の動きはあるだろうが、全体としてはJ1各クラブの戦力は新シーズンに向けて概ね整っているように見える。

 そういう意味では、この1か月間の出入りを振り返り、今季のトップリーグに参加するクラブの現在の「健康状態」について、早い段階で評価を下すにはちょうど良いタイミングだろう。



 成立した移籍をざっと眺めてまず目につくのは、多くのクラブが例年に比べて移籍市場で慎重な姿勢を取っているように見える点だ。

 たとえば王者・鹿島は、経験豊富な選手を一切補強せず、ユースから3選手を昇格させ、大学から2選手を獲得したのみで、あとは数名の控え選手を放出しただけにとどまっている。

 浦和レッズ、FC町田ゼルビア、ガンバ大阪も同様に、全体としては大きな動きを控えており、多少の主力の入れ替わりはあったものの、柏レイソル、ヴィッセル神戸、清水エスパルスについても、昨季と比べて戦力の質はそこまで大きく変わらないように見える。

V・ファーレン長崎の動きは…

V・ファーレン長崎MFマテウス・ジェズス

V・ファーレン長崎のMFマテウス・ジェズス【写真:Getty Images】

 昨季は終盤で失速するまで本格的な優勝争いを繰り広げていた京都サンガF.C.は、これまでのところ昨年の主力の大半を維持することに成功し、さらにJ1やJ2から質のある選手を補強している。この方針は、J1初参戦の水戸ホーリーホックと復帰組の千葉という、昇格2クラブも採用している。

 降格がなく短期決戦となる今季に臨むにあたって、これは非常に賢明な判断に見えるし、もし自分が昇格クラブの監督だったとしても、昨季の成功を勝ち取った中核の選手たちを信頼するだろう。

 その理解の上に積み上げていくことは、J1経験があるというだけで無理やり選手をはめ込もうとするよりも理にかなっているように思えるし、降格のリスクがないことで、この20試合の大会は、若手や経験の浅い選手にできるだけ多くの出場時間を与え、J1に順応させるための完璧な機会ともなる。



 J2から昇格したもう1つのクラブであるV・ファーレン長崎は、関東の2クラブよりもやや積極的に補強を行い、J1経験者を数名加えている。

 特にチアゴ・サンタナの加入は目立つが、個人的には、昨季のJ2最優秀選手であるマテウス・ジェズスをピーススタジアムに残すことに成功した点こそが、最も重要な仕事だったと言いたい。

 ここまでは堅実、もしくは地味なクラブを見てきたので、次は印象的な補強を行ったチームを見ていこう。

積極的に動いたビッグクラブ

名古屋グランパス

今季、積極補強を行った名古屋グランパス【写真:Getty Images】

 大きな入れ替えはなかったものの、2025年に低迷したFC東京と名古屋グランパスは、オフの間にいくつか賢明な補強を行ったと感じている。

 FC東京については、山田楓喜と復帰した佐藤龍之介が前線に必要とされていた創造性と推進力をもたらし、徳島ヴォルティスでJ2屈指のシーズンを数年送った田中颯は、トップリーグの守護神としての地位を確立する大きなチャンスを迎えている。また、橋本健人と稲村隼翔は堅実な守備的補強だ。

 一方の名古屋は、昨季、北海道コンサドーレ札幌でほぼ唯一評価を得た存在であり、中盤で稲垣祥の負担を軽減できる髙嶺朋樹を獲得できたのは大きい。

 さらに、小屋松知哉の復帰はチャンス創出の質を高めるだろうし、FC今治から加入したマルクス・ヴィニシウスは昨季J2で17得点、その前のシーズンにはJ3・19得点を挙げた。J1でどのような活躍を見せるかも興味深い。

 川崎フロンターレもまた、このオフに静かに戦力を強化しており、スベンド・ブローダーセン、谷口栄斗、山原怜音の加入は、改善が急務だった守備陣を大きく底上げするだろうし、紺野和也の希少な特性は、攻撃に新たな次元を加えるはずだ。



 サンフレッチェ広島は2025年も優勝争いに一歩届かなかったが、浦和で物足りないシーズンを過ごした松本泰志の復帰、そして湘南ベルマーレからの鈴木章斗の獲得は、バルトシュ・ガウル新監督の下で再びタイトル争いを演じるために必要な前線の質をもたらす可能性がある。

 一方で、セレッソ大阪にとってラファエル・ハットンの退団は間違いなく大きな痛手だが、移籍市場全体を見渡すと、アーサー・パパス監督は可能性に満ちたスカッドを手にしている。

 コンディションを維持できれば中村航輔はゴールマウスにおける素晴らしい補強であり、田中隼人と鷹啄トラビスは守備の選択肢を広げる有望な若手センターバックだ。

 同様に、いわきFCで飛躍の年を過ごした石渡ネルソンの復帰、そして石渡とU-23日本代表のチームメイトである横山夢叶を今治から獲得したことは、前線における新鮮さと攻撃的な意図を注入する。さらに、櫻川ソロモンはペナルティエリア周辺でのワイルドカード的存在となるかもしれない。

 しかし、残る4クラブについては状況がそれほど明るいとは言えない。

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