横浜F・マリノスの天野純【写真:元川悦子】
混迷を極めた2025年を経て、横浜F・マリノスは再出発のシーズンを迎える。名門としての誇りを取り戻すために、何を積み上げ、何を変えていくのか。フィールドプレーヤー最年長となった天野純は、自身の現在地と向き合いながら、チームが進むべき方向性を静かに見据えている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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天野純が昨シーズンに刺激を受けた試合とは
横浜F・マリノスの天野純【写真:Getty Images】
2025年は指揮官が3人も入れ替わり、シーズンを通してJ2降格危機に直面した横浜F・マリノス。11月9日の京都サンガF.C.戦で2試合を残してJ1残留を決め、オリジナル10の名門のプライドを死守した形だが、選手たちは誰も納得していなかったに違いない。
大島秀夫監督が続投して迎えた2026年。フィールドプレーヤー最年長となり、背番号を20から40に変更した天野純は、宮崎キャンプ突入後、しみじみとこう語っていた。
「(12月6日の昨季最終節で)鹿島(アントラーズ)に優勝を決められた試合は物凄く刺激になりました。実際にピッチで戦っていて『彼らは優勝するチームだな』と思ったし、個の質の高さを感じた。
マリノスも本当に強い時は個の質が高かったし、自信を持って目の前の相手に勝っていた。今の自分たちはそこが足りないかなと思いました」
内容的にも完敗だった大一番で一矢報いるゴールを挙げた34歳のアタッカーは、改めて自戒を込めて語っていた。
ただ、昨季のマリノスは堅守をベースに点を取る効率的な戦い方を突き詰め、10月〜11月の浦和レッズ、サンフレッチェ広島、京都、セレッソ大阪戦で4連勝。尻上がりで調子を上げていった。その積み重ねはポジティブな要素と言っていい。
「年齢的にも今が一番…」

横浜F・マリノスの天野純【写真:Getty Images】
「今季はチームとしては、昨季終盤戦でできたことにプラスして、もう1つ2つ、引き出しを増やした中で戦っていこうというところでやっているので、そこの精度を上げていく必要がありますね。
そういう中、自分はしっかりとプレーで見せて、言葉や発言に説得力を持たせられるようにしていかないといけない。個人としてもう1ランク上の選手を目指している部分もありますし、年齢的にも今が一番いい時期かなという感覚もあります。
昨季は、良くも悪くも後半から出て流れを変える役割が多かったですけど、今年は最初から出て活躍したい。ケガに気を付けてやっていきます」
天野がこう語気を強めた通り、まずはコンディションを引き上げ、2月6日の開幕・FC町田ゼルビア戦からトップパフォーマンスを示し続けていくこと。それが重要命題になってくる。
そのために、彼は数年前から取り組んでいるピラティスなどを精力的に行って、より万全な状態を作り上げようとしている。
キャンプ中も朝食前から体を動かし、キレのある動きを出せるように努力している様子。その立ち振る舞いを目の当たりにするスタッフも「本当に意識が高い。頭が下がります」としみじみと話していたほどだ。
個人的なアプローチの成果もあって、宮崎キャンプ中のトレーニングの動きにはキレと躍動感が見て取れた。
「何人かいい選手がトップ下にはいますけど…」
横浜F・マリノスの天野純【写真:Getty Images】
「外からそう見えるなら、今、やっていることが生きてるのかな」と本人も笑顔を見せていたが、軽快な動きを持続していくことが肝要だ。
そのうえでチームに目を向けると、昨季までトップ下で先発することが多かった植中朝日がガンバ大阪へ移籍。昨年6月に右アキレス腱断裂の重傷を負った遠野大弥が実戦練習に合流したのは朗報ではあるが、天野に託されるものはより大きくなりそうだ。
「何人かいい選手がトップ下にはいますけど、その中で自分は違う特徴を持った選手。そこでうまくアクセントをつけられればいいかなと思います」と彼自身もチャンスメークやリズムを作る動きに関与しつつ、フィニッシュに積極的に絡んでいくつもりだ。
今季のマリノスは最前線にディーン・デイビッドが陣取る形が増えそうだ。傑出した得点能力を秘めるイスラエル人FWを生かしつつ、自身も持ち味を発揮できれば、天野はより強烈なインパクトを残せるに違いない。