
ファジアーノ岡山の木村太哉【写真:難波拓未】
昨季、クラブ史上初のJ1に挑み、昇格初年度でJ1残留を掴みとったファジアーノ岡山。J1定着を目指した戦いがすでにはじまっている中、宮崎キャンプで存在感を放ったのが加入6年目の木村太哉だ。自身の特徴を発揮できているという手応えを感じながらも、歩みを止めない27歳は今年も進化を遂げようとしている。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]
チームメイトがいじる木村太哉の唯一無二な存在感

セレッソ大阪とのトレーニングマッチでアシストをした木村太哉に対して、頭を抱えておどける立田悠悟(右)【写真:難波拓未】
「PA付近ではシュートの意識を持ちながらプレーしていますけど、より確実なパスが出せるといった局面でした。イチくん(一美)が(足元で)ピックアップする形だったら、縦パスを出して潜っていくこともできるなと思いながらプレーしていました。(江坂)任くんがよくああいうプレーをやっているんで、そういうものを見て学んでもっともっと吸収できればと思います」
質の高い思考とスポンジのような吸収力が導き出したアシストに、DF立田悠悟は頭を抱えておどけてみせていた。
その様子について、木村は「いや、よくないですよね。僕がアシストしたら、みんなが『そんなプレーもあるの(できるの)!?』みたいな感じで反応してきて」と笑いながらも、「チームとして良い意味で楽しくやれているのかなとは思うんで、それを継続してチームとしての一体感も出しながらやれたらいいのかなとは思っています」と新戦力が加わったチームの雰囲気の良さも感じているようだ。
プレスをはじめとしたエネルギッシュなオフ・ザ・ボールはチーム全体に活力と勇気を与えるのだが、今回のようにここぞというときの効果的なオン・ザ・ボールではチームにサプライズと同時に活気ももたらす。
“いじられ役”と言えばチープに聞こえるが、勝利に向かって士気を高め、良い雰囲気を醸成できる存在は唯一無二なのだ。
その後も精力的に相手ボールに、ゴールに向かい続けた。MF神谷優太の鋭利なアーリークロスに飛び込む形で際どいチャンスも迎え、2アシストに満足することなく最後まで結果を残すことにこだわった。
「それをなくしたときは自分が試合に絡めなくなる瞬間」

木山隆之監督の下で4年間プレーしてきたファジアーノ岡山の木村太哉【写真:Getty Images】
「鹿島(アントラーズ)との練習試合では結果を残すことができなかったんですけど、鹿島戦も守備では特徴や良さを出せた手応えも感じていた。
(セレッソ戦も含めて)今のところ自分の良さを出しながら、結果も追い求めながらプレーできている感覚があって、満足せずにもっともっと突き詰めていけたらいいのかなとは思っています」と、Jクラブとの2試合目のトレーニングマッチでも手応えを深めているようだ。
J1定着のためにさらなるパワーアップを目指す岡山は、FW河野孝汰やMF西川潤などの若くて才能のあるアタッカーを補強した。
木村にとってはまたしてもポジションを争うライバルが増えたという状況ではあるが、木山監督の下で4年間プレーしてきたプライドがある。そして、甲南大史上初のJリーガーとなり、岡山で居場所を勝ち取り続けてきた自負もある。
「自分がシャドーで出るときに、守備の強度は一番求められているところだと思う。そこをやっぱり1番、俺がやらなきゃいけない。それをなくしたときは自分が試合に絡めなくなる瞬間だと思います。
そこの勘違いだけはせずに、それプラスアルファの何かをできるようになることがチーム力の向上にもつながるし、自分の選手としての価値も高めると思うので、より突き詰めていきたいです」
どんなときも自分を見失わない。常に現状の自分から進化しようと奮起する。2026年に28歳を迎える木村のひたむきさが、ファジアーノ岡山の躍動に欠かせない。
(取材・文:難波拓未)
【著者プロフィール】難波拓未
2000年4月14日生まれ。岡山県岡山市出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生からサッカーメディアの仕事を志すなか、大学在学中の2022年にファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブのマッチデープログラムを担当し、サッカーのこだわりを1mm単位で掘り下げるメディア「イチミリ」の運営と編集を務める。(株)ウニベルサーレ所属。
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