17年ぶりにJ1所属チーム同士の戦いとなった「ちばぎんカップ」。毎年恒例のジェフユナイテッド千葉と柏レイソルによるプレシーズンマッチも、今回で30回目の節目を迎えた。記念すべき一戦は2-1で柏が制したが、新シーズン開幕に向けてチーム内でも激しいポジション争いが行われている。浦和レッズから新加入の大久保智明も、再出発を期する選手のひとりだ。(取材・文:元川悦子) [2/2ページ]
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「リカルドのサッカーはすごくキレイなものに見えますけど…」
シャドウにしても、すでに確固たる地位を築いている小泉を筆頭に、FW兼務の瀬川祐輔、仲間隼斗、新戦力の山内日向汰らもいて、大久保のレギュラーが保証されているわけではない。
特に小泉とはポジションが被りそうで、彼を上回っていくというのはややハードルが高いだろう。
「自分は(小泉や山内と違って)ドリブルで運べる部分が多いのかなと。その前段階として昨年ほとんど試合に出られていなかったので、ゲーム勘やゲーム体力を徐々に上げていかなきゃいけないと思います。
今日も途中から出ましたけど、乳酸がたまるのが早いとかいろいろ感じました。でも試合に出ていかないとパフォーマンスも落ちていくし、とにかく試合に出られるようにしたいですね」
昨季もゲームを支配しながら勝ち切れない印象の強かった柏にとって、やはり重要なのは「決め切るべき時に決められるアタッカー」の存在だ。
2025シーズンもエース・細谷が11点、彼と1トップを争った垣田裕暉が6点という実績を残しているが、2列目で明確なゴール数を記録したのは7ゴールの小泉だけ。アタッカー陣の決定力・得点力という意味で、物足りない部分があったのも確かだ。
そこで大久保が新たな得点源になってくれれば理想的。浦和時代も「チャンスメークは完璧だが、点が取れない」と揶揄されてきたレフティにとって、フィニッシュの部分は克服しなければならない課題だ。
「リカルドのサッカーはすごくキレイなものに見えますけど、監督の中では泥臭くても1点というところがつねにある。自分ももっともっとゴールに関わらなきゃいけない」と本人も語気を強めていたが、2026年はとにかく数字にこだわることが肝心だ。
この半年間で柏での確固たる地位を築いたうえで、8月開幕の2026/27シーズンでは主軸になっていたいところ。夏以降はACLエリート参戦も控えているため、ACL制覇を知る大久保にとっては、自分の経験値を発揮できるチャンス。そこに向けて、まずは2月8日の川崎フロンターレ戦から幕を開ける特別大会で序列を上げていくしかない。
プロ6年目を迎える27歳のレフティの本当の勝負はここからだ。大津祐樹、伊東純也といった偉大なアタッカーが背負ってきた14番が異彩を放つ姿を、柏サポーターは待ち望んでいるに違いない。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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