川崎フロンターレアカデミー出身の松長根悠仁は、プロ4年目のシーズンを川崎で迎える。福島ユナイテッドに期限付き移籍した2年間を経て、松長根はどのように成長したのか。21歳の若武者は、サイドバックのポジション争いに果敢に挑んでいく。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
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2年間の武者修行を終え、川崎フロンターレに復帰
「すごい楽しいです」
キャンプを終え、麻生グラウンドで開幕に向けて調整を続ける松長根悠仁は、口角を上げてそう言った。
言葉を飾ることも、力を込めすぎることもない。ただ、そう話す松長根の表情は、2年間の積み重ねを経てこの場所に戻ってきた実感がにじんでいるように映った。
小学生のときから川崎フロンターレのアカデミーで育ち、トップチームに昇格した。プロ2年目の2024年からの2シーズンは福島ユナイテッドで過ごした。
試合に出続ける日々。左右サイドバックを経験しながら、実戦の中で自分の立ち位置を探り続けた時間だった。
「福島で、試合経験を積んできたので、川崎で(その成果を)出さないといけないと思います」
試合数を重ねたことで得た手応えは確かにある。ただし、それだけでは終わらない。
「福島でやってみて、ある程度は手応えもありながら、課題もありながらっていう感じです」
試合に出続けたからこそ、足りない部分もはっきりと見えた。成長した実感と伸びしろの両方を携えて、松長根は川崎に戻ってきた。
福島では左右両方のサイドバックを経験した。一昨季は右サイドバック、昨季は左サイドバックを務めることが多かったが、ポジションにこだわりはない。
「いやもう、そんなの言ってられる立場じゃないんで。言われたところでやっていこうと思います」
川崎で置かれた立場は、当然ながら厳しい。サイドバックには三浦颯太と山原怜音がおり、佐々木旭もこのポジションでプレーできる。
それでも、ハイレベルな競争に身を置くことに充実感を抱いている。
幼馴染との再会「それが刺激になった」
福島でプレーしていた昨季、ドイツのヴェルダー・ブレーメンでプレーする長田澪と再会する機会があった。同い年の2人は、長田がドイツに渡る13歳まで川崎のアカデミーでチームメイトだった。
「澪は去年、福島に試合を観に来てくれた。前半戦最後の方に来てくれたんですけど、そこで、自分もっとやんなきゃって思った。それが刺激になった」
長田との再会は、自分のキャリアを見つめ直す上でも、モチベーションを上げるためにも、貴重な時間となった。
「お互い頑張ろうねって言って。彼も今試合に出て頑張ってますので」
同期の存在は特別だ。遠くで戦う仲間の存在が、自分を奮い立たせる。
そして、舞台は再び川崎へと移った。
「まずは本当、怪我したらダメなので」
開幕を目前に控えた今、最優先はコンディション管理だ。その上で、短い準備期間の中で自分を高めていく。
個人としての目標は、チームの目標と重なる。
「チームとしては優勝して、そこでもたくさん試合に関わる」
背番号を受け継ぐ同期に「負けないです」
今季、松長根が背負う背番号は「2」。
かつて同じ番号を背負っていたのは、小学生のときから一緒にプレーしてきた同期の高井幸大だった。
「びっくりしました」
番号を知らされたときの率直な反応だ。高井には連絡を入れると、「知ってるよ」という返事がきた。
多くを語らずとも、同期だからこそ通じ合うものがある。
「負けないです」
言葉は短いが、静かに闘志を燃やす。
昨季の背番号2は圧倒的な活躍を見せ、AFCチャンピオンズリーグエリートで決勝の舞台へとチームを導いた。
22歳となる今季、松長根はどのような活躍を見せてくれるだろうか。積み重ねた時間の価値を、証明するためのシーズンになる。
福島で積み上げた実戦経験。2人の同期から受けた刺激。そして、育ったクラブへの強い愛着。
すべてを背負いながら、松長根悠仁は特別シーズンのスタートラインに立つ。
(取材・文:加藤健一)
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